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富士通SSL PC向けセキュリティソフトを大幅拡充 内部情報漏えい対策など計6タイトルへ

2003/10/27 19:35

週刊BCN 2003年10月27日vol.1012掲載

 情報システム構築の富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ(富士通SSL、斎藤潔社長)は、企業のパソコン向けセキュリティソフトを増やす。従来は、ハードディスク(HDD)を暗号化するソフト「Safe Boot(セーフブート)」だけだったが、パソコンの利用状況を一元管理するソフトなど5タイトルを新たに加え、「PC/Safeシリーズ」としてラインアップし10月中旬から販売開始した。ユーザー認証ソフトなども今後、投入する予定で、内部情報漏えい対策関連製品を中心に継続して製品バリエーションを拡充させていく。PC/Safeシリーズで今後2年間で6億円の売り上げを見込む。

 富士通SSLの情報セキュリティ事業は、法人を対象にコンサルティングからセキュリティシステム構築、運用・保守、アウトソーシングなど総合的に展開している。ネットワーク構築も含めたセキュリティ事業の占める割合は、全社売上高の約15%になる。

 だが、パソコン向けのセキュリティ製品は、昨年春から販売しているHDDの暗号化ソフト「Safe Boot」のみで、同社のセキュリティ事業の中では手薄な分野となっていた。

 今回、5タイトルを追加しラインアップを大幅に拡充、「PC/Safeシリーズ」として売り出した。遠山均・ネットワークシステム事業部主席エキスパートは、「パソコンのセキュリティ対策は、企業規模を問わず、それぞれの使用者に委ねられているケースが多い。情報処理振興事業協会(IPA)の行った調査結果でも、『ウィンドウズアップデート』の実施を、約半分の企業が各使用者に任せているという結果も出ており、十分な対策が行われているとは言えない。また、台数も多いだけにシステム管理者の悩みの1つでもある」と指摘。「この状況から(セキュリティ製品に対する)ニーズも強くなっており、パソコン向けにも総合的な品揃えをする必要があった」と説明する。

 1つの製品で複数の機能を実現するのではなく、機能別にソフトを分けて展開していくことで、「ユーザーが手軽に導入できるようにした」(合木伸治・ネットワークシステム事業部セキュリティインテグレーション部長)のが特徴で、競合他社との差別化を図る。

 今回、「PC/Safeシリーズ」として新たに揃えたソフトは、①クライアント端末からの情報漏えい対策としてHDDの中身を完全に消去するソフト「Safeディスク消去人」(1ライセンス3000円)、②ファイル単位で暗号化しパスワードで管理する「SafeSecureBOX」(同1万2800円)、③各パソコンのウィンドウズアップデートの適用状況やハードウェア、ソフトのバージョン情報などを一元管理する「SafeManager」(同6000円)、④パソコンのアクセスや機能を制限する「SafeDefenseWinPRO」(同1万2800円)、⑤外部から持ち込まれたパソコンを企業内ネットワークに接続した場合に検知・警告する「SafeIPWATCHER」(同13万5000円)―の5種。

 内部情報漏えい対策やシステム管理者の負担を軽減させるソフトを中心に、自社開発した製品に加え、海外のソフトベンダーや富士通グループのソフト開発会社からも調達。ユーザー認証ソフトなどラインアップをさらに拡充していく方針。
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