ニュース

スマートリンク 他社と連携し、チャネル開拓急ぐ eラーニング事業モデルが変化

2003/10/13 19:35

週刊BCN 2003年10月13日vol.1010掲載

 eラーニングのスマートリンク(北澤淳一社長=写真)は、チャネル開拓に本格的に取り組む。これまで、eラーニングの基盤となるソフト「LMS(ラーニングマネジメントシステム)」をベースにコンテンツ開発などの事業を展開してきたが、「独自のLMSだけにはこだわらない」とし、他社製LMSを担ぐシステムインテグレータや、LMSそのものを開発するソフトベンダーとの連携強化に力を入れる。同社は、IT関連の企業育成を手がけるアイ・ティー・エックス(ITX、横尾昭信社長)のグループ会社。

 スマートリンクは、eラーニング関連のソフトウェア販売を手がけるシステムインテグレータやベンダーと積極的に提携していく。同社は、1997年の創立以来、eラーニングシステム構築に欠かせない基盤システム「LMS」を独自で開発してきた。だが、LMSは富士通やオラクルなど大手ソフト・ハードメーカーでも開発しており、シェア争いが激しい。また、国際標準規格の制約などからベンダー同士の差別化が難しいという。そんななか、同社では「eラーニングで重要なのは、LMSプラットフォームではなく、その上で動く教材。その教材をどのように活用して人材を育成し、企業価値を高めていくかという“方法論”こそが重要だ」(北澤社長)との結論に達した。

 すでに同社では、これまでの約50社の導入実績などを踏まえ、「ラーニング・セブンステップス」の名称で、eラーニングの導入方法論を確立している。この方法論をベースに、LMSベンダーや他社製LMSを担ぐシステムインテグレータとの提携を積極的に進めていく考え。「当社が独自開発したLMSにはこだわらない」とし、LMS自体のシェア争いから一歩離れることで、導入方法論の分野でのチャネル開拓に乗り出す。すでに7月には、LMSベンダーの1社である日本オラクルと提携した。今後は、さらに2-3社と提携する方針だ。

 同社はITXのグループ会社でありながら、これまでグループ向けの納入実績はほとんどなかった。ITXグループは、関連会社も含めて約60社、総社員数3000人強と大きい。そこで、今後は「グループ向けのeラーニング普及にも力を入れる」と話す。矢野経済研究所の推計によれば、国内企業が採用するeラーニングシステムの市場規模は、03年の580億円から05年は約2.5倍の1480億円に拡大する見通し。スマートリンクの年商は10億円弱だが、市場の拡大とともに、ここ2-3年で年商20-30億円規模にする方針。同社では、「eラーニング事業のポイントは、財務会計ソフトのように、ソフトウェア製品の販売が中心ではない点にある。あくまでも導入方法やコンテンツなどで、学習の効果を目に見える形で経営者に示し、さらに、企業価値を高められるかが最も重要」としている。
  • 1