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日本HP AE適用社数を大幅拡大 パートナーとの協業体制の構築急ぐ
2003/08/04 19:30
週刊BCN 2003年08月04日vol.1001掲載

アダプティブ・エンタープライズ(AE)とは、仮想化技術を基盤として、企業経営の変革に柔軟に対応できる情報システムの構築を目指すHPのコンセプト。同社ではAE実現の第1段階として「アジリティ・アセスメント・サービス」を実施する。アジリティとは「俊敏性」を意味し、ビジネスの変化に対する情報システムの柔軟性を調べる。
三隅武司・HPサービス事業統括サービスマーケティング統括本部ソリューション&ポートフォリオ本部プログラム・マネージャは、「直近で見ると、ITコンソリデーション(統合)やサービスレベルなどアジリティ・アセスメントが中心だが、来年度以降は、具体的なシステム構築が本格化する。また、AE戦略をベースにした商談を進める顧客企業数も、今年度の約10社から、来年度は30-50社に増える。さらに増やそうと考えた場合、AEに習熟したSIパートナーの力が不可欠」と、同分野におけるSIパートナーとの協業を急ぐ。
アジリティを生み出すAEの重要な基盤技術の1つが仮想化技術。企業内で動く情報システムが固定的、分散的であると、ビジネスの変化に情報システムが対応しにくい。日本HPでは、仮想化技術の基盤技術として、「ユーティリティ・データ・センター(UDC)」の売り込みに力を入れる。通常のデータセンターシステムよりアジリティを格段に高めた。ただし、通常のデータセンターシステムより高価で、初期投資だけで数十億円単位の商談になるケースもある。
三隅マネージャは、「UDCなど仮想化技術は、今後のITトレンドの主流になることは間違いない。初期投資は割高だが、その後の柔軟性やアジリティを考えた投資対効果は大きい。AE戦略に賛同していただけるSIパートナーを中心に、仮想化技術をベースとした新しいビジネスの開発に取り組む。SIパートナーは、仮想化技術を早い段階で習得すれば、同業他社との差別化に結びつき、有利にビジネスが展開できる」と話す。
同じAE分野でも、マイクロソフトやオラクル、BEAシステムズ、SAPなどベンダー系のパートナーは多いものの、国内におけるSIパートナーの育成は、まだこれからの課題。日本HPでは、来年度以降、業種別などに細分化し、それぞれに適したAE戦略を展開する。だが、日本HP本体だけの人員では限りがあるため、早い段階でSIパートナーとの協業関係を構築し、主導権を確保する。
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