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マイクロソフト 関門多い、中国進出 「国産擁護」が大きな壁に
2003/04/14 19:17
週刊BCN 2003年04月14日vol.986掲載
ゲイツ会長訪中も打開は困難
マイクロソフト(MS)のビル・ゲイツ会長が2月末、中国を訪問した。MS中国法人はゲイツ会長の訪中期間に、最大手銀行の工商銀行とオンラインバンキングで、石油最大手の中国石油・ペトロチャイナと同社および業界の情報化で提携した。さらに、大手移動体通信業者の中国聯通(チャイナユニコム)と同社が進めるCDMA1Xなどで、立て続けに提携を発表し話題を呼んだ。ゲイツ会長訪中の真意は、MS中国法人によるこうした中国有数の各業界最大手との提携発表を演出するためではなく、中国政府との関係づくりとの見方が大勢を占める。中国政府との関係強化によって、中央および地方の政府関係諸機関から、ソフトウェアやITソリューションの受注に拍車をかけたいところだったのだろう。
しかし、中国は「政府購入法」という法律を公布し施行している。これには政府機関による大量一括購入では、国産を優先させなければならないと規定されている。中国では以前から、「国産擁護」の風潮が根強い。たとえば2001年12月の北京市政府によるソフトウェア一括購入入札ではMSが落選。落札したのは国産メーカーだった。02年8月の広東省政府入札でもMSは国産メーカーに敗北している。
MSとしても02年6月に国家発展計画委員会(国家計委。現在は国家発展・改革委員会。日本の総務省や経済産業省などに相当)と包括的な提携を結ぶなど、政府機関への働きかけを怠っているわけではないが、同12月には情報産業部(同・IT担当省庁)や科学技術部(同・科学技術担当省庁)がMSと国家計委との提携に反発するかのように大規模なLinuxイベントを開催した。
ちなみに北京市政府が一括購入入札で採用したのはLinux。中国では国策としてLinuxの導入を検討している。
すべての状況が、MSの中国における業容拡大に不利となっている。ゲイツ会長が自ら中国に乗りこんで状況打開に一役買ったとしてもおかしくない。中国当局でも、「世界のビル・ゲイツ」をむげに扱うはずもなく、国賓扱いで待遇した。
しかし、同氏の訪中が根本的にMSの中国における立場強化につながるかどうかは不明だ。MSをあからさまに敵視する中国ソフトウェアメーカー最大手の金山(キングソフト)、その総裁の雷軍氏は、「政府一括購入は各国産メーカーや国内産業の育成の重要なルートとなっており、財政資金による国産購入は国内企業の成長を助けるばかりでなく、税金の使い道としても正当だ。米国でもこのような方法が取られているし、WTO(世界貿易機関)の関連ルールにも符合している」と語る。
MS中国法人は中国ソフトウェア業界のトップクラスに君臨し続けているものの、将来的に見れば、MSの中国展開にはまだまだ関門が多い。(サーチナ・有田直矢)
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