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サイボウズ UI保護法の制定で“草の根運動”

2003/03/03 19:14

週刊BCN 2003年03月03日vol.980掲載

ネオジャパンとの裁判敗訴を受け

 サイボウズ(高須賀宣代表取締役)が、「UI保護法」の制定を目指して、草の根運動を始めた。同社は昨年9月、グループウェア開発のネオジャパン(齋藤晶議社長)との裁判に敗れたことを受け、「現行法では、ビジネスソフトを開発した権益を十分に保護できない」と判断。従来の特許法や著作権法とは別に、「UI保護法」を考案した。

 UI保護法とは、ユーザーインターフェイス(操作画面=UI)を保護するもので、主にビジネスソフトやゲームソフトの操作性を指す。昨年9月の東京地裁の判決の主旨は、「ビジネスソフトにも、芸術作品などと同様の創作性があり一定の著作権は認められる。だが、ビジネスソフトという特性上、機能的必然性からくるデザインに著作権は認められない」というものだった。

 同社では、「ビジネスソフトの画面デザインや画面の移り変わりの機構などには相当の創作性がある。これをユーザーインターフェイス(UI)と一括りにして、法的に保護の対象にすべきだ」と主張する。

 デザイン(=創作的な表現)に関しては、著作権で守られており、機能は特許権で守られる。だが、UIは、昨年9月の判例が示したように保護に関して「大きな制約」がある。

 サイボウズでは、この制約を取り払い、UI保護の法制化に向けて、法律やソフトウェアに詳しい学者や有力者に積極的に働きかけていく方針だ。同時に、UI保護法制定に賛同するソフトベンダーや業界関係者を集め、業界全体の世論形成を図る。

 同分野に詳しいコンピュータソフトウェア著作権協会の久保田裕専務理事は、「サイボウズ1社だけの主張では、大きな動きにはならない。だが、賛同者が集まり、コンピュータソフト業界全体の機運が高まれば、話は違ってくるだろう」と話す。

 現在、サイボウズとネオジャパンの裁判は、東京高等裁判所に移っている。4-5月にかけて結審し、5-6月頃には判決が出る見通し。サイボウズが開発したグループウェアのUIなどを、「ネオジャパンが真似た」として、サイボウズ側が訴えている。
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