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KDDI GPSモジュールの売り込みへ
2002/11/25 16:36
週刊BCN 2002年11月25日vol.967掲載
用途提案で新規需要を開拓
携帯電話をSFA(営業支援システム)や車両運行管理などの業務システムに採用する動きが進んでいる。また、携帯電話にバーコード読み取り装置を取り付け、モバイル環境で商品管理を行うケースも増えている。しかし、こうした業務システムへの携帯電話の応用について、KDDIでは「プラスにはなるが、これだけで絶対的なボリューム増に結びつくかといえば疑問」と否定的だ。
KDDIでは、携帯電話を丸ごと業務システムに応用するのではなく、主要モジュールをシステムに組み込んで収益を得る方法を模索する。その典型的な事例が、KDDIの新型携帯電話に標準で内蔵されているGPSモジュールだ。
写真は、KDDIのGPSモジュールの見本。実際には数センチ四方に小型化する。このモジュールをセキュリティ分野を中心に売り込む。
原口英之・ソリューション事業企画本部ソリューション商品開発部モバイルソリューション開発グループリーダー次長は、「GPS携帯電話やモジュールを運送会社やタクシー会社に向けて、車両管理系の業務システムで採用してもらうよう営業をかけてきたが、今のところはセキュリティ分野でいちばん多く売れる。携帯電話がそのまま売れるのではなく、モジュールとして組み込む分野が有望。逆に言えば、セキュリティ分野以外は難しいのが実感」と話す。
具体例としては、(1)貴重品を入れるジュラルミンケースへの組み込み、(2)小学生のランドセルへの組み込み、(3)列車関連で保守要員の安全確保のための組み込み、(4)本来、移動してはならない金庫などへの組み込み、(5)犬や猫の首輪への埋め込み――など。
「金庫への組み込み需要は意外に根強く、『GPSは移動体だけに装備するものではない』という、新しい市場を開拓した。金庫にあらかじめGPSを組み込んでおき、移動した時点で警報を鳴らすという発想だ」という。
GPS単体での売り上げ比率は、わずか数%を占めるに過ぎないが、「まとまった数量を組み込めば、GPSモジュールの基本料金だけで安定収益に結びつく。セキュリティを基盤として、『取り引きの対象物がきちんと相手に届いたか』、あるいは『貴重品や危険物が入ったコンテナが目的の倉庫に入ったか』など、認証課金として1回1000-2000円の付加価値サービスも考えられる」と、GPSサービスの新規需要先を探す。
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