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日立製作所 自治体向けビジネスの営業体制を見直しへ 市町村合併を視野に
2002/11/25 16:36
週刊BCN 2002年11月25日vol.967掲載
電子自治体のビジネスが急転している。市町村合併と県を中心とした共同利用化が進むことで、ビジネスの進め方が大きく変わろうとしているからだ。全国3300自治体を母数として、システムプロバイダ各社はシェア争いを展開し、戦略的なシステム単価を決めてきた。だが、市町村合併や共同利用化の進展具合によっては、売り込み先の団体数が10分の1に縮小する可能性すらある。
日立製作所の三柴広・公共システム営業統括本部営業企画本部電子行政営業支援センタ長(=写真)は、「電子自治体の営業は、これまで全国3300の自治体を対象にしてきた。このうちどれだけシェアを獲れるかが勝負だった。しかし、合併と共同利用化が進展すれば、電子申請、電子調達、文書管理など電子自治体システムの売り込み先が数百に減る可能性がある」と話す。
政府は、2005年3月末までに自治体の数を1000にまで減らす方針を掲げている。また、電子自治体の効率運営を目的とした「電子自治体システムの共同利用化」が進めば、システムの売り込み先は相当絞られることになる。「従来のように、特定の市役所や町役場など、既存顧客をベースとしたピンポイント的な営業をかけていては失敗する。全国地図の上に合併の動きと共同化の動きを二重に重ね合わせて、どこを攻めるべきか戦略的に絞り込む必要がある」と、より包括的な営業体制につくりかえる。
例えば、日立製作所とNEC、富士通のシステムを使っている3つの自治体が合併するとする。この場合、古いシステムを刷新し新システムを導入するとしても、3つのベンダーは必要ない。商談によっては2社が落ちこぼれる可能性もある。さらに共同化となれば、そもそも商談自体が消滅し、3社とも商機を逃すこともあり得る。「これまで以上に、国や県、市町村の動きを徹底的に観察し、営業体制を柔軟に変えていく」考え。
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