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請求書有料化で損する人 普及進むオンライン振り込み
2002/11/11 16:37
週刊BCN 2002年11月11日vol.965掲載
アメリカでオンライン振り込みが流行っている。
オンライン振り込みとは、銀行や企業のサイトから自分の口座にアクセスして料金を振り込めるサービスのこと。
窓口の業務簡略化が後押しとなり、今やほぼ全ての銀行で扱っている。また、これを推奨する通信会社や保険会社も増えた。
具体的には、明細を見ながら支払い額と振り込み月日を指定し、銀行なら振込先の名前と住所も入力する。月々の支払いは振り込み先登録も可能だから、再入力の必要はない。
これなら小切手を返信用封筒に入れて投函する手間が省けるし、何より切手代が浮く。
こんなに便利でおトクなオンライン振り込みなんだから世の中の人みんなが使ってもおかしくないようなものだが、なかには「パソコンの起動が面倒」(主婦)、「相手の住所までなぜ客である自分が入力しなきゃならないんだ(返信用封筒は印刷済み)」(営業マン)、あるいはまた単純に「手順が不慣れ」「コンピュータがない」などの理由で相変わらず小切手を切り続ける人もいる。少し前の筆者がそうだった。
小切手かオンラインか――。これは純粋に個人の好みの問題だ。
しかし請求する方にとっては「好みの問題」なんて生やさしいことでは済まされない。小切手は悪筆もあるし、残高が足りなければ銀行から差し戻しもある。
決裁電子化で生まれる節約コストについては諸説あるが、「請求書1枚につき約1ドル」が通説。馬鹿にならない額なのだ。
有料化は、通信分野ではワイヤレスのメトロPCS、電話キャリアのプライマスが今年から月2ドルの課金をスタート。アメリカン・エキスプレスも一部中小企業向けに月10ドルの課金を始めた。
“ウェブで相場と明細の動きがリアルタイムで追える”のがウリのオンライン投資では、アメリトレードが昨年から2ドル、ネットバンクも同年4月から3ドルを徴収している。
アメリカは不況のどん底。切れるものなら何でも切り落としたい気持ちはわかる。
しかし、コンピュータのない人にとってはまさに寝耳に水。企業が電子化に要した巨額の先行投資とも無関係なら、その利益に預かっている実感もない。月々の請求書に「請求書送付」という項目が増えるだけなのだ。
電子決済が便利で身近になった分、結果的にコンピュータがない人たちに思いがけない皺寄せが生じている。(市村佐登美)
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