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IPA 投資基準を「実用」へ、大幅な方針転換
2002/11/04 16:37
週刊BCN 2002年11月04日vol.964掲載
ソフトウェア開発支援で成果重視へ
――ソフト開発への資金援助方針を大幅に見直したが、その要因は何か。近藤 大きな要因は2つある。ひとつは、市場環境の変化だ。IPAが設立された1970年当時は、日本のソフト開発事業の黎明期で、ソフト開発会社の数も非常に少なかった。そこで、日本を背負うソフト産業を育成するという目的でIPAが誕生した。ところが、今ではソフトに対する評価も大きく変わり、ハードではなくソフトこそ収益源と見なされるまでになった。この時代の変化に応じた資金出資を行う必要があることから、今回の見直しとなった。
もうひとつの理由は、特殊法人のあり方が大きく変化しつつあることだ。税金を投入したソフト開発支援は、すぐに商売につながるものより目に見えない将来の成果につながるものに出資していくべきだというのが、これまでの考え方だった。しかし、今は税金を投入したからには、はっきりとした成果の還元が求められる。IPAでも、成果を重視していくべきだと考えている。ただし、未踏ソフトウェア創造事業だけはこの方針に含まれない。
――成果を出すための具体策とは。
近藤 IPAが出資した案件で特許をとったものはどれだけあるのかといった具体的な成果を示すことができず、IPAの財務諸表を見ると出資金3000億円に対し2800億円の欠損金が出ている。この結果を重く受け止めなければならない。限られた資金を投資するのだから、成果が出るものだけに資金を出すよう対象を絞り込む。「ユビキタスコンピューティングおよびブロードバンド」、「生活・公共分野」、「セキュリティおよび信頼性・生産性向上」の3分野を重点項目としていく。
また、プロジェクトマネージャー(PM)制度を導入し、PMに選ばれた人間が自分の目で実用化されるソフトを選び、責任をもってそのプロジェクトを実用にまでもっていく。将来的には、IPAが出資したソフトは、非常に品質が高く、実用に適した製品だと認知してもらうことができるよう、IPAマークのようなものをつくりたい。
――それまでにはどの程度の時間がかかるのか。
近藤 一応、3年を目処にとは考えている。しかし、本当のところは来年度からIPAマークを信頼のブランドとしていくことができればとも考えている。そのためには、かなり努力が必要だが、それくらい早い変化を起こしていくべきだと認識している。
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