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OS xとオフィスx 悪化するMSとアップルの関係

2002/08/05 16:26

週刊BCN 2002年08月05日vol.952掲載

 

 マッキントッシュ向けに「マイクロソフトオフィス」を開発することで、長年のライバル関係に終止符を打ったようにみえた米マイクロソフトとアップルコンピュータだが、その関係が再び悪化し始めた。マックOS Ⅹ用の「オフィスⅩ」の売り上げが低迷しているためだ。マイクロソフト幹部はOS Ⅹ向けオフィスの開発中止さえ示唆し始めている。

 昨年11月の発売以来、マイクロソフトは75万本のオフィスⅩの売り上げを見込んでいたが、実際の売り上げ本数は30万本程度。マイクロソフトのマック部門の責任者ケブン・ブラウン氏は米マスコミのインタビューのなかで、販売本数の伸び悩みは、アップルのOSⅩのマーケティングが不十分なためだと、アップルを非難。このままでは2、3年以内にマック向けのオフィスの開発を中止する可能性もあると語った。

 これに対しアップルのマーケティング部門のフィル・シラー上級副社長は有力週刊誌ビジネスウィークのインタビュー記事のなかで、「パソコンが1000ドルで買える時代に、ソフトに500ドルも支払いたくないもの。(マイクロソフトは)値下げも検討課題の1つにすべきだ」と述べ、マイクロソフトの値段設定に問題があるとの考えを明らかにした。

 一方で、サン・マイクロシステムズがOS Ⅹ向けに事務ソフトを開発する計画が明らかになっている。サンは、マイクロソフトオフィスとファイル互換性のある「スターオフィス」を、ソラリス、リナックスに開発しているが、来年中にもOS Ⅹ向けに開発し発売する計画という。またスターオフィスのオープンソース版「オープンオフィス」のOS Ⅹ向けバージョンは年内にも完成する見通し。アップルは、マイクロソフトオフィスに代わる本格事務用オフィススイートをユーザーに提供できることになる。

 米国の有力ITサイトがサンの幹部の発言として報じたところによると、アップルはマイクロソフトに気兼ねし、これまでサンとの距離を置いてきたが、ここにきてアップルとマイクロソフトの関係が悪化したため、アップルとサンが急接近しているという。

 これとは別に、アップルは米国内でウィンドウズ搭載パソコンからマックへの乗り換えを勧める広告キャンペーンを6月から始めている。アップルは、80年代から90年代にかけてマイクロソフトへの対抗意識をあらわにした広告キャンペーンを展開していたが、今回のキャンペーンは当時をほうふつとさせるものだという。

 7月18日から開催された「マックワールド」では、携帯音楽プレーヤー「iPod」とウィンドウズを連携できるソフトが注目を集めた。アップルのシラー上級副社長によると、ウィンドウズユーザーをマック陣営に引き込むことが同ソフトを開発した重要な目的の1つと語っている。

 業界アナリストの間では、マイクロソフトのブラウン氏はマスコミを通じてアップルに圧力を掛けているだけで、実際にマック向けオフィスの開発を中止することはないとの見方が有力。しかし、マイクロソフトとアップルの協力関係がより冷めたものになりつつあることは間違いなさそうだ。(湯川鶴章)
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