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恵安 自社ブランドで勝負!

2002/05/20 16:18

週刊BCN 2002年05月20日vol.941掲載

キューブ型ベアボーン発売

 恵安は、自社ブランドの売上比率を来年度(03年6月期)30%に高める。同社は昨年10月から自社ブランド製品を始め、今年度(02年6月期)の同比率は10%強になる見通し。黄安信副社長は、「今は小型キューブ型ベアボーンによる自社ブランド製品が中心だが、年内には、本体ケースや外付ハードディスクケースなど、商品サイクルが比較的長い製品を中心に品揃えを増やす」予定。今年度の売上見通しは100億円(前年比22%増)、経常利益2億円(同100%増)を目指す。

 恵安はもともとマザーボードやビデオカードの流通卸しを中心に手がけてきた。だが、株式公開を準備するに当たり、証券アナリストから「独自性が必要」と指摘され、自社ブランド製品の開発に踏み切った。01年10月、初めての本格的な自社ブランド製品としてキューブ型ベアボーン(CPUやメモリなどを搭載していない半製品のパソコン)を発売し、月間販売台数2000台のヒット商品となった。これを受けて、今年4月にペンティアム4対応(従来機はペンティアム3対応)の後継機を発売し、5月末にはAMD対応機の販売を始める。

 ペンティアム4対応キューブ型ベアボーン(写真)は月販3000台、AMD対応は月販1000台を見込む。キューブ型ベアボーンの発売以降、これまであまり取り引きのなかった大手量販店との商談が急増した。通常のベアボーンでは、マザーボードの仕様に合わせてケースを制作する。恵安では、デザインを優先するため、ケース開発後にその仕様を満たすマザーボードを発注した。このため、ケースはデザインを重視する台湾の強復工業1社だけに発注し、マザーボードは3-4社から恵安仕様の特注ケースに最適なものを選んで調達した。黄安信副社長は、「顧客は、まず外観を見て、それから機能が満たされていれば購入する。マザーボードは最低1万台単位で発注すればこちらが望む仕様を製造してくれる。ケースの場合は1000台単位から生産が可能。月間4000台以上販売すれば、ほぼ四半期ごとに新しい機能を搭載したマザーボードを発注できる。また、ケースは色やデザインの異なる種類を多数揃えられる」と話す。

 今後の課題は、「消費者との接点をいかに増やすか」という点。今回のキューブ型ベアボーンは、ケースメーカーのノウハウを生かして成功した。ヒット商品を出し続けるには、「マーケティング力を高めることが不可欠」だと考える。「市場需要を的確に読み取り、ケース単体や外付ハードディスクケースなど、比較的商品周期が長い製品を中心に、自社ブランド化を進める。ビデオカードやマザーボード単体は製品周期が短く、自社ブランド化には不向き」という。今年度(02年6月期)の売り上げ82億円の構成比は、自作パソコン部品を中心とした流通卸売り事業が80%、サーバーラックなど企業向けサーバー関連製品が10%、自社ブランドが10%を占める見込み。来年度(03年6月期)の売上目標100億円の構成比では、自社ブランドの比率を30%に高め、企業向けサーバ製品を20%、流通卸を50%にする。
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外部リンク

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