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ネットオークション市場 BtoCに利用する既存企業

2002/04/08 16:15

週刊BCN 2002年04月08日vol.936掲載

 

 イーベイやヤフーオークションに代表されるネットオークションは、ネット上の個人間商取引市場として目覚しい躍進を遂げつつある。この市場を積極的に利用することで具体的な実績を上げている企業の事例も多く報告されており、ネットオークションはBtoC市場としての新しい側面を見せ始めている。

 自社の運営するウェブサイトなどを通じて製品のオンライン販売を進めてきたIBMは、昨年からイーベイ、ヤフー、CNet(シーネット)、uBid(ユービッド)などのネットオークション市場に向けた製品の通信販売を開始した。

 これらの流通網を通じてIBM製品を購入した顧客の8割近くが新規顧客だったことで、ネットオークション市場がもつ新規顧客開拓能力の高さに驚いているようだ。

 今回のネットオークション市場での結果については、いままでの経験や経緯にこだわらず、新しい市場を一番熟知しているパートナーであるチャネルアドバイザーと連携し、自社の主張にこだわることなくこのパートナーの主導に戦略を任せたことが、成果を生んだようだ。

 一方、百貨店大手のシアーズは、返品商品や余剰在庫などを在庫一掃セールなどで現金化してきた。それを昨年から積極的にネットオークション市場へ投入し、余剰商品在庫に対する現金回収効率を2-3倍に向上させることに成功した。

 スリングショット ソリューションと命名されたこの新しい商品販売方法は、ジェンコディストリビューションシステムという新しいパートナーとの連携により実現したもので、ジェンコがシアーズから余剰商品を受け取り、選別、補修、管理、販売、出荷、集金などその後の一連の作業を一手に引き受け、商品をシアーズブランドではなく、スリングショップマンというブランドとしてネットオークション市場へ投入するもの。

 商品特性に応じた市場への投入時期、価格などを的確に判断する独自のソフトウェアを活用することで、より効果的な価格で余剰商品をさばくことができるジェンコのサービスは、シアーズ側に相応の費用負担を強いてはいるが、高い費用対効果を生むことから、シアーズは今後もこの提携を続けていくだろうとジェンコは説明している。

 さらに、ハンバーガーチェーン大手のバーガーキングは、フェアマーケットというパートナーと協力し、新たにポイントサービスを開始した。顧客がフライドポテトを購入するたびに1人あたり最大250ポイントを提供し、顧客はイーベイ上のバーガーキングコーナーでこのポイントを使ってさまざまな商品を購入できるというものだ。

 このサービスをペンシルバニアで先月開始したところ、10日間で約1000ユーザーによる総額3万ポイントを超える結果を生んでいる。

 日を追うごとにBtoC機能を強化している最近のネットオークション市場に対し、アマゾンを始めとしたBtoCの老舗直販サイトが、今後どのような対抗策を打ち出して来るのか、大変に興味深い。(大平 光)
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