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BEAのJava版Visual Basic 「Cajun」が突きつける新たなリスクとは
2002/03/25 11:00
2月下旬、米カリフォルニア州サンディエゴのコンベンションセンターで「BEA eWorld 2002」カンファレンスが行われた。BEAシステムズは、いわゆる「Javaアプリケーションサーバー」というカテゴリーで、IBMの「Web Sphere」を抑えて首位の座を維持している。米国の調査会社、ギガ・インフォメーション・グループによると、BEAが36%、IBMが34%、サン・マイクロシステムズが7%、オラクルが5%と続いている。
アプリケーションサーバーの役割を手短に言えば、そのミッドティア(中間層)に位置し、アプリケーションのロジックを書き、それを実行するものだ。
このミッドティアのカテゴリーでは、2つの勢力がしのぎを削っている。マイクロソフトの「.NET Framework」とサン、IBM、オラクル、そしてBEAらが信奉する「Java 2 Enterprise Edition(J2EE)」だ。J2EEは、Javaのサーバーバージョンといえるもので、Javaでサーバーアプリケーションを開発する際に必要と思われる多くの機能があらかじめ用意されている。
サンディエゴコンベンションセンターで、JavaアプリケーションサーバーのカテゴリーキラーであるBEAは、その開発をさらに簡単にする「Cajun」(ケイジャン)を発表し、それまでどちらかといえば地味だった同社が一躍注目を浴びている。
Cajunのコードネームで開発が進められ、正式には「WebLogic Workshop」と呼ばれることになった同開発ツールは、Visual Basicライクな開発言語で、J2EEプラットフォーム上で動作するアプリケーションを開発できるという。BEAでは、「JavaのためのVisual Basic」とさえ呼ぶ。
しかし、Cajunのデビューは、古くて新しい問題を再び開発者らに突きつけている。Javaで標準化されていない新しいコマンドをCajunで使うことで、開発者がBEAの環境に「ロックイン」されるのではないか、という懸念だ。マイクロソフトのツールでは彼らの環境に縛りつけられるが、どこでも動くJavaなら多くの製品が選択でき、アプリケーションの書き換えも必要ないはずだった。
BEAのアルフレッド・チャンCEOはもちろん、「Cajunによって生成されるコードは、すべて標準に準拠している」と、そのポータビリティを主張しているが、ライバルのIBMは早速、「アプリケーションサーバーが限定されるアプリを構築できても、開発者は歓迎しない」と牽制している。
Javaアプリケーションサーバーが、いわゆる「プラットフォーム」へと進化する中で、その選択に関するリスクも増しているということか。(深田健次郎)
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