ニュース

サン、マイクロソフトを提訴 Javaをめぐる両社の確執とは

2002/03/18 11:00

 サン・マイクロシステムズは、同社が開発したプログラム言語Java(ジャバ)の普及を阻害されたとして、マイクロソフトを独占禁止法違反で提訴した。90年代の後半には、好敵手とも呼ばれた両社だけに、今後の裁判の行方が注目されるのはいうまでもない。

 サン・マイクロシステムズがマイクロソフトを提訴したというニュースは、たちまちシリコンバレー中を駆け抜けた。

 同社が開発したジャバは、クロスプラットフォーム対応が可能である。つまり、どのような環境でも同じプログラムを利用できるというのが、何にも変え難い売り文句だ。それだけに、多様な機器が接続されるインターネット時代の言語として期待を集めていた。

 サン側の説明を解釈すると、マイクロソフトが昨年11月に発売したウィンドウズXPで、既存のジャバ言語が作動しないように仕組んだとしている。

 「明らかにマイクロソフトがパソコンのOSマーケットで独占的な地位を築いた立場を乱用している」というのが、彼らの言い分のようだ。

 同社によると、この影響でサンのサーバー事業も大きな打撃を受けており、その損害が10億ドル近くにもなるともいう。

 しかし、一方でサンの本社があるシリコンバレーでは、マイクロソフトだけがジャバの売り上げを妨げていると言いきるのは危険ではないか、という意見もちらほら聞かれる。

 ジャバがリリースされたのは、96年頃である。その後、ネットバブルに乗ったせいもあろう、90年代の後半には、シリコンバレーのプログラマーの多くがこぞってジャバのプログラミングを勉強するために、専用のクラスをとったり、夜な夜な自宅のコンピュータに向かって、独習をしたりした。

 しかし、ネットバブルがはじけた00年後半から様子が様変わりしてきた。ジャバうんぬんの問題ではなく、プログラマーの仕事そのものが極端に減ってきたのである。ジャバに対する期待感はあっても、使用するチャンスが減ったのは事実である。マーケティングを知る人間なら、露出度が減少すれば知名度が薄れるという現実は誰でも知っている。

 マイクロソフトの反競争的行為が裁判ざたになったのはこれが始めてではない。98年にも一連の訴訟があった。今年1月にもAOLタイム・ワーナーが損害賠償などを求め、マイクロソフトを提訴している。「また、マイクロソフトか」と呆れ顔でいうエンジニアも多いのである。

 要は裁判の結果がどのようになっても、結局はマイクロソフトはこれからも何らかの形で勝ち続けるだろう、と見ている人間が多いということである。

 90年代の後半にハイテク業界の好敵手とまで呼ばれた両社だけに、今後の裁判の行方が注目されるのはいうまでもない。サンが提訴している反トラスト違反が認められた場合、マイクロソフトは30億ドルを払わなければいけないという話も耳にする。興味をひかれる業界関係者も多いことであろう。(飯田仁子)
  • 1