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顧客と同じ景色を見る
日本事務器 代表取締役社長兼CEO
田中啓一
取材・文/堀 茜 撮影/大星直輝
2025/03/24 09:00

週刊BCN 2025年03月24日vol.2052掲載
(取材・文/堀 茜 写真/大星直輝)
全国各地にITを届ける
――事務機器を手掛ける販売会社は各地にありますが、全国規模で事業を展開し、100年続く企業は多くありません。長く事業を続けてこられた理由はどの点にあると考えますか。100年続けよう、200年を目指そうと思って日々の事業計画を立てているわけではありません。特に今、市場のニーズもテクノロジーも移り変わりが激しくなっています。それに対応するために、当社は社内での役割を三つに分けています。「今日」は本年度の業績達成を目指す、「明日」は来年売る商材を準備する、「明後日」は将来を見据えた新規事業を考案するという分担です。部門で分けるのではなく、役割は広く連携します。私が社長になってから、言語化して役割を明確化してきました。当社には既存領域の顧客という基盤があります。医療系でいえば、病院や健診センター向けのソリューションで大きなシェアを持っています。既存領域を伸ばしながら新規ビジネスを模索し続けています。事業の継続性という意味では、三つの役割がうまく回っていることが一因かもしれません。
IT化という意味では、この数十年で企業や団体の経営効率化、業務効率化に貢献することができたと考えています。当社の顧客には病院など医療機関が多くありますが、47都道府県病院がない場所はありません。そういったビジネスモデルによって、全国津々浦々にITを届けることができるようになりました。当社の売り上げは、エリア別ですと首都圏が2割程度で、全国各地でのビジネスが会社を支えています。
――近年の業績はいかがですか。
業績は、毎年何らかの特殊要因があるので、当社では前年比でどれほど成長したかという点はあまり重視していません。単年で売り上げを伸ばして営業利益を出すことはもちろん大事ですが、ここ数年それ以上に力を入れているのは、ビジネスモデルの転換です。クラウド時代になり、売り切りビジネスから、サブスクリプションなど事業収入のサービス比率を50%以上にするという方針を掲げています。それはサービスビジネスのほうが、収益性が高いという理由でなく、そのほうがお客様にとって合理的だからという意味合いです。
――SI事業では、何を強みにしていますか。
基幹業務をIT化するのがDXのスタートになります。プロダクトベースのベンダーですと、その製品がうまく動
くことがゴールになると思いますが、当社は全体を見ているSIerとして、顧客の事業が伸びることを目指しています。事業成長のために何をするか、一緒に考えるというのが当社の立ち位置で、提供できる価値です。お節介と言われることもあるかもしれませんが、時間さえあれば客先に行くというのが社員のDNAとしてありますね。
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