KeyPerson
オフィスDXで生産性を高める
イトーキ 代表取締役社長
湊 宏司
取材・文/堀 茜 撮影/馬場磨貴
2024/10/07 09:00
週刊BCN 2024年10月07日vol.2032掲載
(取材・文/堀 茜 写真/馬場磨貴)
老舗製造業をITで変革
――IT業界で長年活躍され、前職は日本オラクルの副社長でした。製造業への転身はとても振れ幅が大きい決断だったのではないでしょうか。イトーキが社長を探していて自分が候補に挙がっているという話を最初に聞いた時は、本当に驚きました。ただ、自分の経験と正反対の業界だからこそ、貢献できる領域が大きいのではないかとポジティブに捉えました。
オフィスは生産性を上げるためにあるのに、オフィス家具の業界は驚くほどIT化が進んでいませんでした。当時のイトーキには、変革のためにITやAIといった最新技術を取り入れなければという危機感があった。私にはその役割が求められていたし、面白いと思い飛び込みました。
――社長として最も力を入れたことは何でしょうか。
社員とのコミュニケーションです。1890年創業の老舗企業で、外部から社長に就いたのは私が初めてです。就任時、取締役の平均年齢は70代。51歳の私が入って、本当に大丈夫なのかと、正直、社内のガードは堅かったですね。そこでまず、私がどういう人間かを知ってもらうために、社長室の壁を取り払い、いつでも誰でも入れるようにしました。オフィスを売る会社ですから、自社からオフィスによって企業文化を変えたかった。また、伝言ゲームで正しく意図が伝わらないことを避けるために、全国の拠点を回り、現地の社員と直接話すことも重視しています。
私自身のKPIは三つあって、売上高、営業利益、そして最も大切にしているのが、社員のエンゲージメントスコアです。私は、仕事に思い入れがあり、会社に愛着がある社員がいい仕事をしてくれることを信じて疑いません。コミュニケーションを密にすることで、会社への愛着は増すと考えており、入社した頃は、会社に愛着があるとする社員の割合が50%台でしたが、昨年は75%になりました。力を入れてきたことに手応えを感じています。
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