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あらゆる人が創造性を発揮する社会に

アドビ 代表取締役社長

中井陽子

取材・文/大畑直悠 撮影/大星直輝

2024/09/02 09:00

中井陽子

週刊BCN 2024年09月02日vol.2028掲載

 米Adobe(アドビ)の日本法人がビジネス機会を拡大させている。コンテンツ制作や管理を支援するデジタルメディアとデジタルマーケティングの両軸で事業展開する同社は、生成AIの活用などでユーザーのすそ野の拡大を図っている。4月に社長に就任した中井陽子氏は「あらゆる人が創造性を発揮する社会にする」と意気込みを示す。
(取材・文/大畑直悠  写真/大星直輝)

「アドビでなら使っていける」

――社長に就任してから4カ月がたちました。現在の心境をお聞かせください。

 就任以降、たくさんのお客様やパートナーと会話する機会がありました。アドビのどこが好きで、今後出てくる新しいテクノロジーで何を実現したいかなどを聞く中で、アドビへの期待を体感しており、当社が市場で発揮できるポテンシャルは高いと感じています。

 最近ではやはり生成AIの活用への関心は高いです。当社の画像生成AIエンジン「Adobe Firefly」などが既存のプロダクトに組み込まれて約1年となり、かなりの数のお客様が生成AIに触れ始めています。新しいテクノロジーの利活用には不安が付きものですが、「アドビでなら(生成AIを)使っていける」という信頼を寄せた声もいただいています。当社が長年にわたってデジタル技術を通して価値を提供してきた中で、社会に対して示した企業姿勢が、顧客に確実に届いていると感じています。

――具体的には、生成AIに対する顧客の不安をどのように払拭していますか。

 例えばAdobe Fireflyは、自社の画像ストックサービス「Adobe Stock」内の、商用利用が明示された素材を学習データに利用しています。オープンライセンスのコンテンツを使うこともありますが、許諾されたものを使っているので、(生成されたコンテンツを)安心して利用できます。

 生成AIに関してはコンテンツの盗用やフェイクニュースなどの懸念が寄せられていますが、アドビは2019年からインターネット上の偽画像などに対処する国際的な取り組み「コンテンツ認証イニシアチブ」で、コンテンツの編集履歴などを明らかな状態で保持し、透明性を確保する活動を展開しています。現在、業界を横断した約3000社が参画し、社会的な説明責任を果たせる状態で生成AIの活用を目指した取り組みを一緒に進めています。

――ビジネスの近況を教えてください。

 非常に良い成長ができています。新しいテクノロジーの実装だけではなく、ここ数年で取り組んできた戦略が目に見えるかたちで実を結び、着実な成長の土台ができてきています。具体的には、当社が提供しているデジタルマーケティングプラットフォーム「Experience Cloud」を、当社自身でもコンシューマー向けビジネスに活用しているため、お客様と同じ目線で価値を提供できます。また、大企業や中堅・中小企業といったセグメントごとにパートナーと提案する体制が整ってきました。顧客ごとの特性やペースに合わせて必要なDXを提供できています。
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外部リンク

アドビ=https://www.adobe.com/jp/