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生成AI用のGPUサーバー需要を取り込む
MCデジタル・リアルティ 代表取締役社長
畠山孝成
取材・文/安藤章司 撮影/大星直輝
2024/07/08 09:00
週刊BCN 2024年07月08日vol.2021掲載
(取材・文/安藤章司 写真/大星直輝)
320kVAの“熱の壁”を冷やす
――DC世界大手のデジタル・リアルティとの国内合弁事業の概況を教えてください。国内では三菱商事とデジタル・リアルティの折半出資で、千葉県に郊外型DCを2棟、都内の都心型DCを2棟、関西に4棟の計8棟を運営しています。25年12月には千葉県郊外型DCの3棟目を開業する予定です。
――御社のDCにはどんな特徴がありますか。
関西DCの1棟が、23年7月に国内で先駆けて高性能GPU「NVIDIA DGX H100」対応のDCとして米NVIDIA(エヌビディア)から認定されました。NVIDIA DGX H100は近年需要が急増している生成AIを稼働させるGPUの役割を担っているのですが、通常の業務用サーバーで使うCPUより消費電力が大きく、DC設備側により強力な電源や冷却能力が求められています。千葉県の郊外型DCの2棟も追加でDGX H100の認定を受けており、首都圏と関西圏でそれぞれ生成AI向けの計算資源を提供できる体制を整えています。
――高性能GPUを稼働させるために、どのようなDC設備を整えているのですか。
1ラック当たり最大で70kVA(キロボルトアンペア)の電力を供給して、かつ空冷できるよう設計しています。DGX H100は1台で10kVAの電力が最低限必要になるとされていますので、1ラックに4台収納しても、まだ余裕があります。
生成AIの活用が広がる前は、電源供給量で10kVA単位の商談が多かったのですが、生成AIが絡むと一気に電源容量が増えて100kVA単位の商談に膨らんでいます。当社のDCは、そうしたユーザー企業の需要に十分に応えられる設備を整えています。
さらに付け加えると、1ラック当たりDGX H100を4台収納したものを8ラック並べて、おおよそ320kVA相当の電力を空冷で冷やすことも可能です。一般家庭の契約電力が3kVAだとすれば、320kVAはざっくり100倍の電力消費となり、これをわずか8ラック分の棚に集積するわけですので、ほぼ“熱の壁”のようになります。
――DGX H100対応に認定された三つのDCは、ここ数年内に開業した比較的新しいDCですが、それでも国内で生成AIが俄然注目を集め始めたのは23年くらいからですよね。大電力需要を予測していたのですか。
当初から今の生成AIブームを予見していたわけではありませんが、ラック当たりの電力供給が増えるのは予見していました。当社のDCは冷却や照明などを除いた純粋なサーバー用電源として1ラック当たり平均9kVAで設計しています。一般的な業務アプリを動かすCPUサーバーであれば3kVAもあれば十分ですが、当社はGPUサーバーの需要増を見越し、未来志向で先進的なDC設計をしてきました。
もちろん、電源だけでなく、冷却方式や床荷重、電源や通信の冗長性など、デジタル・リアルティグループ全体で将来必要になるであろうDC設備を予想して、高スペックなDCを目指しています。冷却方式については、空冷だけでなく、水冷技術の開発も進めており、両方式のいずれにも対応できるよう努めています。
- 1ラック単位の小口利用も重視
- 倍の計算資源の供給も視野に
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