KeyPerson
環境対応や社会課題の解決に向き合う
エプソン販売 代表取締役社長
栗林治夫
取材・文/安藤章司 撮影/馬場磨貴
2024/07/01 09:00
週刊BCN 2024年07月01日vol.2020掲載
(取材・文/安藤章司 写真/馬場磨貴)
サステナ経営目線で選ばれる
――トップ就任から3カ月がたちました。まずは足元のビジネス概況を教えていただけますか。当社はインクジェット方式のプリンターや複合機、プロジェクター、デジタル捺染機、産業用ロボット、オフィス用の乾式製紙機などのセイコーエプソン製品の国内販売を担っています。製品そのものの優位性、独創性に加えて、環境対応やユーザーの困りごとを解決するソリューション提案に力を入れていきます。この点は、前任の鈴村(鈴村文徳前社長)からの経営方針をしっかり継承し、その上で業種・業態への横展開を一段と進め、ビジネスの幅を広げていく考えです。
――主力のプリンター関連ビジネスで、環境対応やユーザーの課題解決につなげた成功事例にはどのようなものがありますか。
当社の法人向けプリンターや複合機は、圧倒的な省電力が強みのインクジェット方式を採用している点で、ライバル他社よりも環境性能が高く、ユーザー企業の脱炭素の需要をしっかりとつかめていると自負しています。一例を挙げると、535台のレーザープリンターや複合機を運用しているある医療機関で、当社インクジェット方式のプリンター/複合機に置き換えた場合の環境アセスメントを実施したところ、年間で消費電力量、CO2排出量がともに推定85%削減できることが分かっています。
サステナビリティー経営を実践しようとする企業にとって、脱炭素は重要な経営課題です。欧州では脱炭素の取り組みが進んでいますので、エプソングループの欧州法人と密に情報を交換しながら先進諸外国の環境規制に準じた価値訴求を行っていきます。世界的な脱炭素や環境規制の大きな流れの中で製品販売を位置付けなければ、ユーザー企業から正しく価値を認められない時代です。
――ユーザーへの提案の切り口が製品販売ではなく、環境や課題の解決にあるあるということでしょか。
最終的には製品販売につなげていくわけですが、その前提として価値提案をしっかりしなければならないということです。ここ数年は、販売パートナー施策でも環境関連のパートナーを増やしています。2022年にはサステナビリティー経営支援などを手掛けるパソナHRソリューション、23年にCO2排出量可視化サービスなどを展開するTBMとそれぞれ協業を始めています。当社独自のサステナビリティー経営の推進支援サービスも拡充しており、環境経営の一環として、当社インクジェット方式のプリンターや複合機を選んでいただくケースが増えています。
- 業種対応ソリューションを拡充
- 標準化進むPC事業で鍛えられる
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