KeyPerson
顧客のDXを止めない
シスコシステムズ 代表執行役員社長
濱田義之
取材・文/大畑直悠 撮影/大星直輝
2024/05/27 09:00
週刊BCN 2024年05月27日vol.2015掲載
(取材・文/大畑直悠 写真/大星直輝)
DXと切り離せない三つの領域
――国内企業のDXの取り組み状況をどのように見ていますか。マイナス金利が終わったことはシンボリックですが、いわゆる失われた30年からようやく脱却する兆しが見えてきた中で、日本全体でDXに取り組む機運が高まってきており、ビジネスを次のステージに持っていこうとしていると感じています。
――日本法人の今後の方針を教えてください。
グローバルでは、「セキュリティー」「ハイブリッドワーク」「オブザーバビリティー」「サステナビリティー」「ハイブリッドクラウド」「AI」の六つを重点領域に位置付けていますが、日本ではセキュリティー、AI、サステナビリティーの三つに特に力を入れます。ハイブリッドワークやハイブリッドクラウドは、わざわざ注力すると言わなくても不可逆的に進んでいくとみられますが、DXを推進する上で、特に切り離して考えられないのが、この三つの領域だと考えているからです。
日本の素晴らしいところは現場力であり、さまざまな取り組みがボトムアップで進められることです。しかし、デジタル化を進め、卓越した製品やサービスをつくることは得意だとしても、セキュリティーをしっかり担保していなかったために、取り組みが阻害されてしまうことは防がなければなりません。そのため、顧客のDXを支援する上で、セキュリティーを全ての領域に包含することが重要だと考えています。
――AI、サステナビリティーについてはいかがですか。
AIについては、今後の労働人口が増加する見通しがない中で、日本ほど利活用を進めなければいけない国はありません。当社が2023年に実施した調査で、国内企業はAIに関する戦略は立てているものの、活用まで進んでいないという結果が出ました。では、どこに使いたいかというと、ITとセキュリティー環境が上位を占めました。これに応えるために、例えばネットワークに関する製品では、かつてのようにコマンドラインを覚えた専門的な人材を集めることが難しい状況にあるのに対して、構築や障害解析を効率化するために使えるようにしています。セキュリティーに関しても、人材不足に対応するため、AIによる自動化に力を入れています。
AIを活用するための基盤構築の支援も進めます。日本ならではの特化型AIをつくろうという動きがある中、グローバル標準のクラウドを基盤に用いるのではなく、場合によっては各企業で基盤を構築することが適切な場合もあります。当社はAIをはじめとした高度なネットワークを必要とする技術の活用に向けて、イーサネットの改善を推進する組織「Ultra Ethernet Consortium」の立ち上げメンバーに参画しました。計算基盤の中でのあるべきトランスポートをつくり、これを日本できちんと活用できるようにします。
サステナビリティーに関しては、国内でも真剣に取り組む企業が増えていると感じます。DXが進展する中で、AIの活用が進むと消費電力が増大するので、サステナビリティーとの間でギャップが生まれない仕組みの構築やノウハウの共有を進めています。
- Wi-Fiの重要性が高まる
- パートナーとビジネス変革を推進
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