KeyPerson
「第2章」の始まり
コンカー 執行役員社長
橋本祥生
取材・文/大畑直悠 撮影/馬場磨貴
2024/04/15 09:00
週刊BCN 2024年04月15日vol.2010掲載
(取材・文/大畑直悠 写真/馬場磨貴)
経費精算からDXを
──社長に就任した率直な気持ちをお聞かせください。びっくりしたというのが正直なところです。入社以来、さまざまな部門の責任者を経験していたことが理由の一つだと思います。加えて、今秋にオープンする国内DCをめぐっては、本社から承認を得るまでに4、5年を費やして粘り勝ちした経緯があり、この交渉で示した胆力も評価されたのではないでしょうか。
──現在の市場環境をどのように見ていますか。
日本の労働人口が減少する中で、経費精算業務を効率化するテクノロジーの重要性は高まっています。経費精算をなくすためには「キャッシュレス」「ペーパーレス」「運用レス」「承認レス」の四つのポイントがあると考えています。それぞれのパーツごとに見ると成熟している顧客は多く、特にキャッシュレスやペーパーレスは進展しています。運用レスの面では、システムがナビゲーションをすることで問い合わせをなくす支援や、当社が業務代行するビジネスが好調です。成果は出ていますが、まだまだデジタル化する余地は残っていると感じます。さらに今後、チャレンジしていかなければならないのは、承認レスの部分です。これにはAIなどのテクノロジーの活用を発展させ、人手を介した作業をなくしていく必要があるでしょう。
──今後の製品展開はそういった考えに沿う内容になりそうですね。
AIやビッグデータを活用した新たなサービスの提供を検討しています。まだ構想段階ではありますが、経費の申請プロセスにおいて、金額が正しいかどうかや、各企業で定める規定に沿った申請であるかをAIによって自動でチェックする仕組みを通じて、業務の削減をサポートすることなどを考えています。ビッグデータの活用では、例えば企業が保有するさまざまな会計データを掛け合わせて出張経費の傾向をAIで分析し、ビジネスにあまり貢献していないエリアに経費が過剰に投資されていないか、といったインサイトを抽出します。
また、国内の顧客は同業他社の傾向に非常に関心が高いため、当社が幅広い顧客層への支援と長い実績の中で蓄積したデータを用いたベンチマークを示すことで、各顧客の経費精算を最適化するサービスを展開します。経費精算は顧客ごとにさまざまな特徴があり、ワークフローが複雑だったり、一つの明細に入力する項目が多かったりするため、ベンチマークに基づいて自社の経費精算業務を検討し、改善すべき部分を明確化する支援が可能です。
──新たなサービスでは、単に経費精算を効率化するだけではなく、経営の意思決定や変革の支援も狙っているように感じます。
その通りです。顧客には「経費精算からDXを始めましょう」という話をよくします。経費精算は全従業員がやらなければならず、必ず一定の頻度で発生する業務です。どこからDXに着手すればいいか分からないという経営者にとって、比較的リスクが少なく、短期間でデジタル技術を使いながらオペレーションや規定を変えられる挑戦しやすい領域と言えます。経費精算のDXでまず成功体験を得てもらえれば、社内で「自分たちでもできる」というマインドセットを醸成できるはずです。AIやビッグデータの利用という観点でも、経費精算からデータを生かしたビジネス変革を始め、そこで得た成功体験から本業にも活用を広げて競争力を高めてもらいたいです。これまでも独SAP(エスエーピー)グループの1社として、ERPとセットで導入を検討されることが多かったですが、まずは経費精算の部分で当社がトップバッターとなって、このシナリオを推進していきます。
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