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海外売上高比率3割近く、人口多い成長国に焦点

CAC Holdings 代表取締役社長

西森良太

取材・文/安藤章司 撮影/大星直輝

2024/04/01 09:00

西森良太

週刊BCN 2024年04月01日vol.2008掲載

 CAC Holdingsの昨年度(2023年12月期)海外売上高が前年度比26.5%増と大きく伸びた。インドの事業会社の構造改革の成果が出てきたことや、インドネシアの事業会社が堅調に推移していることが追い風となり、売上高全体の30%近くを海外が占める。人口の多い成長国に焦点を当てた海外事業戦略を展開しており、年商500億円規模の準大手SIerの中で、海外売上高比率の高さは突出している。一方、国内事業は子会社を再編しつつ、年間150~200人の人材採用や、独自商材・サービスを起点とした新規事業の創出に取り組む。
(取材・文/安藤章司  写真/大星直輝)

インド会社で大型案件を獲得

――海外売上高が全体の3割近くに達しています。年商500億円規模の準大手SIerでこれだけ海外比率が高いのは珍しく、どのような状況なのか教えてください。

 23年12月期の海外売上高は前年度比26.5%増の146億円、海外事業セグメント利益は同30.4%増の14億円と大きく伸びました。円安の影響もありますが、それ以上に主力のインド事業で複数年度にまたがる大型案件を受注するなど好調に推移していることが大きいです。14年にインド中堅SIerをグループに迎え入れたときは、ハードウェア販売を主体とした、いわゆる箱売り比率が大きかったですが、10年がかりでITソリューション領域へ事業の軸足を移してきた効果が出始めました。

――インドではどのようなビジネスを手掛けているのですか。

 Inspirisys Solutions(インスピリシス・ソリューションズ)という事業会社を軸に、地場のITソリューション案件を手掛けています。海外売上高のうち、半分余りをインドで売り上げています。とはいえ、当社グループが強みとするITソリューション事業にまだ完全に移行しきれていない部分も残っています。採算性が低いビジネス領域から付加価値の高いビジネス領域へ移行する余地があり、その分伸びしろも大きいとみています。

――インド以外はどの国・地域に進出していますか。

 インドネシアと中国がメインです。近年の当社の海外ビジネス戦略は明確で、人口が多いなど潜在的な成長余地が大きい市場に果敢に進出するというものです。地場の有力SIerをグループに迎え入れるケースが多く、インドネシアの中核事業会社のMitrais(ミトライス)は19年にグループに加わってもらいました。ミトライスはアジャイル開発に強く、バリ島に本社を置きつつ、売上高の7割ほどをオーストラリアのSI案件で獲得しています。

 リモートワークを駆使してアジャイル開発に長けた人材を巧みに集め、日本の2倍余りに相当する人口2億7000万人のインドネシアの巨大な市場と、オーストラリアのIT需要を取り込み、営業利益率は常に20%余りを確保する非常に優秀な会社です。ミトライスの優れたアジャイル開発の技法は国内の当社グループにも取り入れてビジネスに生かしています。

 中国については、インドとインドネシアのような地場のIT需要をターゲットにしつつ、日本からのオフショア開発のビジネスの両方を手掛けています。

――海外事業会社の人員規模はそれぞれどれくらいですか。

 インドが一番多くて約2000人の体制で、次にインドネシアの約630人、中国が300人ほどです。当社グループの連結従業員数が約4500人ですので、全体の6割余りが海外で勤務する従業員となります。
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  • SIerを迎え入れて地場市場に参入
  • 独自商材やサービスは目標過達

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外部リンク

CAC Holdings=http://www.cac-holdings.com/