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新たな事業モデルが社会と顧客から求められている
富士通 代表取締役社長CEO
時田隆仁
取材・文/大向琴音 撮影/大星直輝
2024/01/22 09:00
週刊BCN 2024年01月22日vol.1999掲載
(取材・文/大向琴音 写真/大星直輝)
多彩な陣容の中でコンサルティング力を拡充
――新たな中期経営計画を発表されてから約半年が経過しました。事業モデルの変革に関しては、Uvanceの売り上げを23年度は3000億円で計画しています。22年度の売り上げは2000億円で、そのほとんどがテクノロジー基盤の「Horizontal Areas」でしたが、23年度から伸ばしていくことにしているのは、社会課題に応じた四つの分野を定めた「Vertical Areas」です。Uvanceは“オンクラウド”を前提とした事業モデルなので、基盤領域であるHorizontal Areasが先行するということは折り込み済みです。
また、現在の中期経営計画では、コンサルティングの能力を強化するために、1万人の人材創出を目標に掲げています。社内のリソースをトレーニングで強化していく部分と、社外から来ていただく部分の両面から考えています。まだ道半ばではありますが、現在2000人を数えていますので、目標に届くよう引き続き取り組んでいきます。
――コンサル力の強化はUvance推進にあたっても重要な点だと思いますが、さらに8000人増強するのは簡単ではなさそうです。
当社には約12万4000人の従業員がおりますが、そのうちポテンシャル人材はグローバルで6万人ほどと見ています。これだけの母数がある理由は、そもそもコンサルタントになり得る人材は、営業やSEだけとは考えていないからです。コーポレート部門やファイナンス、人事や法務といった部門で働く従業員から、専門性を持ったコンサルタントとしてリブランドしていくことも踏まえています。
特に現在、ERPのビジネスが非常に活況な中で、お客様の先に営業やSEとともにファイナンスの人間も同行し、ERPのユーザーとなる先方のファイナンス部門の方々とコミュニケーションすることによって受注が拡大している事例も出ています。そういった意味でも、コーポレート部門も含めた多彩な陣容の中で、コンサルティングの力を上げるということを進めていきたいと考えています。
――そのほか、ここ半年で注力された施策についてもお聞かせいただけますか。
テクノロジー戦略については、コンピューティングの分野で、23年に国産第2号機になる量子コンピューターの実機を理化学研究所と共に開発し、サービスも開始しています。AIの分野では「Kozuchi」というコードネームで呼んでいるAIプラットフォームを提供しています。数百のお客様から問い合わせをいただいていますし、Kozuchi上でいろいろなトライアルも始まっており、非常にポジティブです。
最後はリソースについてですが、言うまでもなく、日本だけでなく世界中でIT人材が不足しています。当社では、人的資本経営に着目しながら人への投資を力強く進めてきています。報酬の見直しも大幅に行いましたので、「Work Life Shift(ワークライフシフト)」というコンセプトの下で働き方、そして報酬面においても、外部から見て誘引力のある組織体であると自負しています。
- クラウドシフトの先に社会課題解決がある
- レガシーとブランニューを両立させる
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