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データ活用を支援し、社会に貢献

内田洋行 代表取締役社長

大久保 昇

取材・文/大畑直悠 撮影/大星直輝

2023/12/11 09:00

大久保 昇

週刊BCN 2023年12月11日vol.1995掲載

 内田洋行の業績が好調だ。2023年7月期の連結売上高は前期比11.1%増の2465億4900万円で、GIGAスクール構想特需で過去最高となった21年7月期の2910億3500万円に次ぐ結果となった。10年にわたって同社のかじ取りをしてきた大久保昇社長は「構造変革を進めたことで変化に柔軟に対応できる組織となり、成長ラインのベースアップができている」と手応えを語る。今後は社内に蓄積されたノウハウの共有やグループ会社との連携を深めるとともに、顧客のデータ活用を推進することで社会に貢献できる企業を目指す。
(取材・文/大畑直悠  写真/大星直輝)

変化に適応する組織を構築

――14年7月に社長に就任され、今期で10年目になります。この間をどのように振り返りますか。

 内田洋行グループの構造改革に力を入れた10年でした。私が就任する前の25年間は、俯瞰すると業績は大きく変わりませんが、主力事業の売上高が約3分の1となる代わりに、グループ会社と新しい事業部を中心とした売上高が約3分の2を占めるようになるなど、構造は変化していました。また、リーマンショック後の日本経済の回復に対し、当社が後れを取る中での社長就任でした。

 就任の際に感じていたのは、「これまでの当社の変化は意図したものではなく、結果論として少しずつ変わっていただけだ。意図的に構造を変えれば、もっと成長できるのではないか」ということでした。そのため、この10年間で構造改革を可視化し、リソースの集中や新たな事業の組み合わせを模索することで、将来の変化にも柔軟に対応できる組織づくりを進めました。

 具体的には、情報、オフィス、公共の3本部制を解体し、各部に内在していたスモールビジネスユニットを市場・事業別の観点でマトリックス化し可視化することで、埋もれていた技術やノウハウ、リソースを共有できる組織体制としました。また、各事業部に分散していたSE機能や、ICT関連の研究開発機能、企画機能を統合しました。こうした構造改革が奏功し、20年の首都圏のビル建設ラッシュで生まれたオフィス構築関連の需要や、「Windows 10」の更新需要などに対し、幅広く、かつ需要が生まれた直後だけではなく、長く案件を取り続けることができました。21年のGIGAスクール構想による特需の際には、前年から売上高が約900億円増加しましたが、これもそれだけの突発的な需要に応えられる柔軟な組織体制が可能にしました。

――直近では、どのような構造改革を進めていますか。

 セグメントを越えたノウハウの共有をさらに進め、提供できる価値を最大化しています。23年8月には、大手企業向けネットワークサービス事業と首都圏オフィスプロジェクト事業の組織を合体させてエンタープライズエンジニアリング事業部とし、強みとするITと環境構築技術を一体化することで競争力を強化しました。

 また、公共・学校施設分野が持つ自治体などの施主や、設計事務所やゼネコンなどへアプローチするノウハウと、地方オフィス分野が持つ地域に広がるリソース、販売網を掛け合わせた組織として広域施設事業部を設置し、地方での直需営業力を強化しました。加えて民間の環境構築分野でも、東名阪の戦力強化と集中化を目的に、直販系の組織を合体させたオフィスエンタープライズ事業部とすることで、営業力の強化を図っています。
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内田洋行=https://www.uchida.co.jp/