KeyPerson
AIや量子技術を駆使し、保守業務を徹底効率化
NECフィールディング 代表取締役執行役員社長
形山嘉浩
取材・文/安藤章司 撮影/大星直輝
2023/10/16 09:00
週刊BCN 2023年10月16日vol.1988掲載
(取材・文/安藤章司 写真/大星直輝)
負荷軽減や時間短縮を実現
──最新のデジタル技術を駆使した業務改革に取り組んでいるとうかがっています。当社は、ハードウェアの保守やITインフラの構築を事業の柱としており、近年はAIや量子アニーリング、ロボットなどの先進的なデジタル技術を駆使して業務の効率化に取り組んでいます。保守サービスでは、素早く的確に不具合の原因を特定し、どれだけ効率的かつ短時間で復旧できるかが競争力の源泉となりますので、日進月歩で進化する先進技術を積極的に使っています。
例えば、不具合が発生したハードウェアのログをAIで解析し、どの部分に障害があるのかの切り分けや特定に役立てています。2021年から段階的に活用を始めたところ、AIによる障害切り分けの正答率は90%台まで高まりました。もちろん最終的には人が見て判断しますが、ざっくりとした答えをAIが出してくれるので、障害切り分けにかかる保守サービス担当者の負荷軽減や時間短縮に大いに役立っています。
──AIの活用はさらに進んでいるのでしょうか。
本年度(24年3月期)はコンタクトセンターで聞き取った内容の自動文字起こしや感情分析でAIの活用を検証しています。自動文字起こしはオペレーターの負荷軽減に役立ちますし、感情分析は連絡をくれたユーザーの緊迫度、焦り具合を読み取って、緊急度合いを推測します。非常に緊迫した状況であることが読み取れれば、オペレーターに注意を促して対応の優先度を高める判断材料にできます。
──量子アニーリングの活用についても話していただけますか。
NECが研究開発に力を入れている量子アニーリング技術は、当社でも22年9月から東京と大阪の配送ルート最適化の用途で使っています。通常は保守作業用の自動車に保守部品を積み、保守担当の技術者が運転してユーザー先に出向くのですが、東阪は駐車場の制限もあって、技術者は電車などで移動し、部品を運搬する運送車とタイミングを合わせて現地で落ち合う流れが多い。
部品を降ろした運送車は、そのまま次のユーザー先へ移動しますので、人と運送車の到着タイミングがぴたりと合うような配送計画を立てるのに、これまでは2人かがりで2時間ほどかかっていましたが、量子アニーリングを使うようになってからは、わずか10分で配送計画を立てられるようになりました。
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