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地域、業種、技術の3軸でビジネスを推進

NTTデータ 代表取締役社長

佐々木 裕

取材・文/安藤章司 撮影/大星直輝

2023/10/02 09:00

佐々木 裕

週刊BCN 2023年10月02日vol.1986掲載

 NTTデータグループの国内事業を担うNTTデータが発足して3カ月が経過した。初代社長の佐々木裕氏は、今後の経営方針について「地域に密着して、業種ノウハウを磨きつつ、技術はグローバル共通で進めていく」と話す。企業や自治体、生活者まで広くカバーする業際的かつ社会的なSIビジネスへと価値提供の範囲を広げることで、競争優位性や収益性を高めていく考えだ。
(取材・文/安藤章司  写真/大星直輝)

組織づくりから実践フェーズに

――2023年7月1日付で持ち株会社のNTTデータグループの傘下に国内事業を担うNTTデータと海外事業を担うNTT DATA, Inc.を配置する3社体制に移行して3カ月が経ちました。なぜ新体制へ移行したのですか。

 24年3月期にグループの海外売上高が6割に拡大する見通しとなり、国内は国内、海外は海外で担当地域を分けたほうが、地域に密着したビジネスがやりやすくなると判断したからです。SIerのビジネスは地域と業種、技術の三つの軸で分けられますが、このなかでも地域軸はとても重要です。それぞれの国や地域の商慣習、言語、法規制にしっかり対応することがSIerの強みであることから、国内と海外を分けて、当社は国内ビジネスを専門的に担う体制としました。

 ただ、地域ごとにバラバラになってしまってはグループとしての強みが発揮できませんので、持ち株会社が司令塔となりつつ、技術面では世界共通で進めていきます。

――どういった経緯で経営トップの仕事を引き受けることになったのでしょうか。

 私は6月末までコーポレート統括担当の常務として、本間さん(本間洋・現NTTデータグループ社長)をはじめ、役員とともにグループ戦略を練っていました。3社体制の組織づくりにも参加してきた経緯から、その後の実践フェーズも引き続き担わせてもらうことになりました。

――有言実行ということですね。戦略を実行していくにあたり、どのようなことを最も重視していますか。

 地域に密着したビジネスを展開していくのと並行して、業種の知見をもった人材を育成することを重視しています。営業にしても、SEにしても、業種・業務のノウハウをもった人が客先に出向かないと、話をすることすらままなりませんからね。

 一方、技術は世界共通の言語のようなもので、地域や業種のようなばらつきはほとんどありません。例えばゼロトラストネットワークを組むときは、最適なIT基盤やモジュールの組み合わせについて、グループ全体の共通認識の下で足並みを揃えることを重視しています。

 つまり、地域の商慣習やユーザーが属する業界のことを、日本なら日本、海外法人ならそれぞれの国や地域で深く掘り下げて探求する一方、システムを支える技術面では、組織の壁を越えて横断的に知見を共有し、グループ独自のアセット(知財)化を進めていきます。アセット化をすることで国や地域を越えた展開がしやすくなりますし、信頼性や将来性のある技術を見極める精度を高められます。納期短縮や開発生産性の向上などの効果も期待できます。
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