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複雑化する顧客のニーズに応える

アビームコンサルティング 代表取締役社長

山田貴博

取材・文/大畑直悠 撮影/大星直輝

2023/08/21 09:00

山田貴博

週刊BCN 2023年08月21日vol.1981掲載

 アビームコンサルティングの2023年3月期の連結売上高は1217億円で、過去最高を達成した。4月に社長に就任した山田貴博氏は「顧客の望む変革領域は拡大している。単なるレガシーシステムの刷新による『業務効率化』ではなく、収益が出せる『DX』の実現が求められている」と語り、ビジネスチャンスが増加しているとみる。パートナーエコシステムを強化し、共創を通じた新たな価値提供によって、複雑化する顧客のニーズに応える構えだ。
(取材・文/大畑直悠  写真/大星直輝)

変革領域は拡大している

――23年度3月期の売上高は1217億円と、過去最高になりました。好調の要因を教えてください。

 顧客が変革したいと望むIT領域の拡大や複雑化が、新たな需要を呼び、成長を後押ししています。これまでは基幹系システムのモダナイゼーションを中心とした引き合いが多くありましたが、データ活用やクラウド、AIのような新しいデジタル技術を積極的に活用することで、より多くのITシステムのレイヤーでモダナイゼーションを進めたいというニーズが高まり、ビジネスチャンスが生まれました。また、こうした変革領域の拡大で、顧客の人材不足が顕著になってきたことも業績を押し上げる要因となりました。

 顧客がコンサルティング会社に期待することも、複雑になり高度化しています。システムの構築やSAPの製品導入といったビジネスは、レガシーシステムの刷新が求められる「2025年の崖」や、「SAP ERP 6.0」の標準サポートが終了する「2027年問題」が顕著な時期には引き合いがあっても、いずれシュリンクし投資規模も縮小します。今後、サステナブルに成長するためには、顧客に伴走しながら、より付加価値が出る変革を提案する必要があるでしょう。

――具体的に顧客のニーズはどのように変化していますか。

 単に効率化したいという要望ではなく、収益が出せるDXの実現を望んでいます。例えば、基幹系システムのモダナイゼーションにより経理や財務、販売管理などの業務を効率化できますが、加えてデータドリブン経営を実現することで、コスト削減にもつなげたいと望んでいます。現在はさらに一歩進んで、デジタル技術を積極的に活用して、基幹系システムのリプレースではカバーしきれない、顧客接点などの領域で変革に取り組みたいという顧客もいます。営業のチャネルを増やしたい、既存のサービスの品質を向上させてより収益を上げたいと、コスト面ではなくレベニュー面での変革を望む声が高まっています。
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外部リンク

アビームコンサルティング=http://www.abeam.com/jp/