KeyPerson
「定番」でブランド価値高める
VAIO 代表取締役社長
山野正樹
取材・文/藤岡 堯、堀 茜 撮影/大星直輝
2023/07/10 09:00
週刊BCN 2023年07月10日vol.1976掲載
(取材/藤岡 堯 文/堀 茜 写真/大星直輝)
品質を保ちファン層を広げる
──6月で社長就任から丸2年となりました。社内で大きく変えたことはありますか。製品の路線を変えました。今まで、当社はずっとプレミアムニッチの製品を提供してきました。ただ、私が社長になって感じたのは、プレミアムニッチだけでは、成長に限りがあり、下手をすると淘汰されてしまう可能性がある点です。ある程度の存在感を持って市場にプレミアムニッチ製品を届けるためには、スタンダード領域でもファンを獲得し、どんどん新しい製品を出していかなくてはならない。「プレミアムだけやります」という路線だと、販売数も出ませんし、数が出ないからコストが下がらない、コストが下がらないと余計売れなくなるという負のスパイラルに陥ってしまいかねません。これまで「VAIOは(品質は)いいけどけ高いよね」と言っていたお客様に、手の届くような「定番」の製品を届ける狙いで出したのが、個人向けの「F16」と「F14」、法人向けの「Pro BM」と「Pro BK」です。定番製品とプレミアムの二つの路線に変わったのは、大きな変化ですね。
──VAIOといえばプレミアムというブランドイメージがあります。それを崩してでも別路線にポートフォリオを広げるのは、消費者の層を広げたいということでしょうか。PCがコモディティ化しているとも言われる中で、勝算はありますか。
VAIOはあくまでプレミアムブランドで、そこは崩しません。プレミアムブランドが出す定番だからこそ、価値があるんです。VAIOのクオリティや質感は妥協せず、手の届きやすいモデルを作りました。われわれにとってもチャレンジです。使ってみたら「VAIOはいいね」と思っていただける。ファン層をもっと広げたいという取り組みです。
開発に際して、当初社内から「VAIOが安いものを作るのか」といった抵抗はありました。しかし、私は逆の発想で、ハイエンドにプラスになると考えました。新製品にはハイエンドで培った技術がもちろん生きているし、逆も然りで、新シリーズで採用した部品をハイエンドにも使うことで部品コストが下がる。新しく生まれた開発成果はハイエンド機にも適用していきます。社内のエンジニアには、ハイエンド機は1万人にしか届かないかもしれないが、定番製品は100万人に訴求できる。100万人に評価される製品を作ろうと言って、納得してもらいました。新製品は高い評価をいただき、社内的にも学びは大きかったです。
PCのコモディティ化については、変わってきていると感じています。コロナ禍の影響が大きかったと思いますけれど、リモートワークをするようになってPCを使う機会が圧倒的に増え、せっかく使うんだったらいいものがほしいというユーザーが増加しました。安ければいいというお客様もいますけれど、そうではなく、多少高くてもよい製品を使いたいお客様は一定数います。そういう方にVAIOの価値を届けたいという思いです。
- 法人の大口成約が売り上げに貢献
- 現場中心にパートナー関係を強化
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