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「地方」という単一概念は存在しない
全国地域情報産業団体連合会 会長
長谷川 亘
取材・文/藤岡堯 撮影/大星直輝
2023/06/05 09:00
週刊BCN 2023年06月05日vol.1971掲載
(取材・文/藤岡 堯 写真/大星直輝)
印象に残るIT連盟の設立
──会長就任から今年で丸10年となります。この10年を振り返るといかがですか。まさに「光陰矢の如し」で、あらゆることがあっという間に起こって過ぎ去ったという思いです。
──10年間の取り組みの中で、印象に残っていることなどはありますか。
たくさんありますが、やはりIT連盟(日本IT団体連盟)の設立でしょうか。コンピュータソフトウェア協会(現ソフトウェア協会)の荻原紀男会長(当時)と2人で各団体を訪問したことや、日本情報技術取引所の酒井雅美理事長(同)、全国ソフトウェア協同組合連合会の中島洋会長(同)に賛同していただき、何度も説明会を開催して多くの団体の皆さんに足を運んでいただいたことを思い出します。設立までに足掛け3年かかりました。
IT連盟ができて、大臣級の政治家とのつながりが生まれたことはよかったです。60以上のIT業界団体、およそ5000社、社員数約400万人という規模になれば、(政治家は)無視できないようです。われわれの話を政治家に伝えやすくなりましたし、いろいろな情報が入ってくるようになりました。IT連盟から発信した要望が実際に具現化されていったことも多くあります。
それまでは政治家がIT業界と話をしようとしても、どこを相手にするかという問題がありました。大型計算機の時代から存在する企業による団体、パッケージソフトウェアベンダーの団体、インターネットプロバイダーの団体、さらにはデータセンターの団体、そしてゲーム業界の団体、これらは全く違う世界なんです。これをとにかくまとめなくてはいけないという思いでした。
──10年間で苦労もあったと思います。
たくさんありました(笑)。ANIAというのは全国各地域の代表選手が出てくる場です。皆さん完全に戦国時代の「野武士」「一国一城の主」なんですよ。東京で中央官庁と付き合っていると、中央で全てが決まっているみたいな気持ちになりがちですが、IT業界の場合は米国で起こっていることを理解するほうが大事であり、中央を飛び越えてさまざまな技術が地方の各社に入ってきます。副会長になったころ、会員の皆さんには「中央なんて関係ない」などと言われることもあり、はじめはびっくりしました。他の会員より10歳くらい若かったから、皆さん先輩ですよ。彼らからしたら「小僧が何をやっている」というようなもので、怒鳴られることもありました。
私はそもそも学校教育の世界の人間ですから、やはり文部行政ありきで、そこから派生してくものがたくさんあります。情報教育を手掛けているとはいえ、教育制度などは法律で決められてしまいますから、文部科学省には頭が上がらないわけです。ところが、会員の中には経済産業省なんてなんとも思っていないような猛者がいっぱいいるわけです。いわば各都道府県の「親分」の皆さんに囲まれて、会長になっても突き上げを受けるばかりですよ(笑)。
それでも地方同士をつながなくてはなりませんし、地方の声を中央に届けないといけませんからね。どんな意見でもいいので、自由闊達に議論してくださいと。そういうことばかり言っていた気がしますね。
- 地域ごとにIT企業の役割は違う
- 地方と中央をつなぐ
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