KeyPerson
データ活用とAIが交わるタイミング
データブリックス・ジャパン 代表取締役社長
笹 俊文
取材・文/日高 彰、堀 茜 撮影/大星直輝
2023/05/22 09:00
週刊BCN 2023年05月22日vol.1969掲載
(取材/日高 彰 文/堀 茜 写真/大星直輝)
処理高速化で扱うデータがより多様に
──今、多くのベンダーが「AIやデータ利活用の課題を解決する」と銘打つデータプラットフォームを手がけています。競合も多いと思いますが、一番の強みは何だとお考えですか。製品面での最大の特徴は、プラットフォームの中心に分散処理のエンジンである「Apache Spark」を据えていることです。Sparkはオープンソースのプロジェクトで、当社もコントリビューターとして大きな役割を果たしていますが、プラットフォーム上でSparkがより最適化され、オープンソースで公開されているものよりも高速に動作するという点で、非常に優位性が高いでしょう。
AI活用のために、大量のデータに成形を施していく流れを考えると、いわば「ブロンズ(銅)データ」であるロー(生)データを、集計された「シルバーデータ」にし、さらに使いやすく加工した「ゴールドデータ」へと、いかに速く処理するかが大切になります。そこに長年オープンソースで培われてきたSparkがものすごく寄与しています。
データ処理のスピードが10倍になれば、取り込むデータのバラエティーを10倍にできる可能性があります。今まで処理時間と加工コストにお金がかかっていたからこれだけしかデータが使えなかったというところが、当社のプラットフォームなら素早くデータを加工していける。ここがやはり、一番の強みとなる部分です。
──今年1月に社長に就任されました。直近の日本市場の状況をどうみていますか。
まさに、データ利活用とAIがうまく交わってくるタイミングに入ったと思っています。日本企業の中で、「データを集める」ということに関して、先駆けて一生懸命やってきたところは多いです。最近はそのデータをいかに利活用するかが大きなトピックにあがってきていると感じます。ただ今はまだ、AIを使ってどんなビジネスシナリオを描くか、どのデータが価値があるのか、見極めていこうという段階と言えます。
一方で、自社のデータを外に出して利活用するのは難しいということも、皆さん感じていると思うんです。例えば、コールセンター向けにチャットボットを大規模言語モデルで教育したいと思ったとしても、コールセンターの10年分のログを外部のサードパーティーに提供するのは、セキュリティ上の壁が厚い。外に出せなければ、社内で10年分のログを整理し、自分たちでモデルをチューニングしていかなければなりません。そういったニーズに対して、当社のプラットフォームがご活用いただけるはずです。
肌感覚だと、私が入社してから引き合いや忙しさを含め、倍くらいになってきています。ただ、私どものようなツールがあることをまだ認知されていない面が多々あるのも現状です。大量のデータを扱えて、そのデータからAIのビジネスシナリオを自社環境の中で育てていけるツールがある、ということを多くのお客様にしっかりと伝えていきたいです。
- ツールと人の両面でAI活用を支援
- パートナー戦略は拡大と深化
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