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世界共通のビジネスモデルに“しょうゆを足す”

アトラシアン 代表取締役社長

スチュアート・ハリントン

取材・文/大蔵大輔 撮影/大星直輝

2023/03/20 09:00

スチュアート・ハリントン

週刊BCN 2023年03月20日vol.1961掲載

 米国企業が大きな影響力を持つIT業界において、独自の存在感を放っているのが、オーストラリアのシドニーに拠点を置くAtlassian(アトラシアン)だ。ソフトウェア開発ツールの企業として、すでに全世界で25万社以上の顧客を獲得している同社だが、現在はさらなる飛躍を遂げるために「製品プロバイダー」から「プラットフォーマー」への移行を加速している。今年で10周年を迎える日本法人で設立時から代表を務めるスチュアート・ハリントン社長に、トランスフォームの狙いと日本市場における戦略を聞いた。
(取材・文/大蔵大輔  写真/大星直輝)

ツールだけでなく企業文化もアジャイルに

――2023年で日本法人設立から10周年を迎えます。ハリントン社長は設立当初から代表を務めておられますが、振り返ってみてどのような10年でしたか。

 10年前にアトラシアン本社が日本法人の代表を探していたとき、私はビジネスの一線を退いて、慶應義塾大学で客員研究員として活動していました。現場に復帰するつもりはなかったのですが、二つの理由から考えを改めました。一つめは、この会社なら日本の生産性を上げるための、コラボレーション・イノベーション・クリエイティブネスが揃った組織をつくっていけると思ったからです。自分自身が働き始めたときから日本のエンジニアが働きやすい環境をつくりたいと思っていましたが、アトラシアンならそれを実現できると感じました。

 二つめは本社から来ていた2人の共同創業者兼共同CEO(マイク・キャノン・ブルックス氏とスコット・ファークワー氏)と気が合ったからです。それまでシリコンバレーの企業で長く働いてきましたが、オーストラリア色の濃いアトラシアンはだいぶカルチャーが異なっていました。シリコンバレーの企業は常に上場もしくは売却という出口を意識しています。ところが両CEOは「われわれは100年続く会社をつくるつもりだ」と、とても長いレンジで物事を考えていたんです。私が10年にわたって日本の代表を続けられているのも、そのあたりのカルチャーと無関係ではありません。

 グローバルにおける業績でいえば、収益は10年で約30倍(12年度の1億米ドルから21年度は30億米ドル)になりました。成長曲線をみると、大きく跳ねるタイミングがあったわけではなく、一定の成長率を継続していることが分かります。これは日本も同様で、平均成長率は13年から40%以上をキープしています。このあたりの手堅さにも、長期的な目線で事業を捉えるカルチャーの影響が表れているのかもしれません。

――日本の市場環境をどのように分析していますか。

 世界を見渡せば、テクノロジーの力によって新たなビジネスモデルが数多く登場してきた10年でした。アジャイル型の思考が定着したことで進化のスピードは加速しています。アジャイル開発を支援するツールを販売している当社にとっても、こうしたトレンドは追い風になりました。一方で、日本は世界と比べて変化のスピードが緩やかです。コロナ禍を経てデジタル化や働き方改革は進みましたが、肝心の成果はまだ十分に出ていません。次のステップはどうしたらよいのかと模索している状況です。

 その要因はさまざまですが、組織やビジネスをウォーターフォール型からアジャイル型に切り替えられていないことが大きいのではないでしょうか。業務がトップダウンである、失敗を許さない文化である、オープンな組織になっていない。こうした多数の壁がある中ではツールだけに頼ってもうまくいきません。ツールと一緒に企業で働く人や文化も変えていく必要があります。当社ではツールを提供するだけでなく、アジャイル型の企業文化をいかに醸成することができるかという顧客の教育面にも注力しています。
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外部リンク

アトラシアン=https://www.atlassian.com/ja