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AI技術でコミュニケーションを円滑にする

PKSHA Technology 代表取締役

上野山勝也

取材・文/大畑直悠 撮影/大星直輝

2023/01/16 09:00

上野山勝也

週刊BCN 2023年01月16日vol.1953掲載

 AIの共同研究開発やソリューション提供を手掛けるPKSHA Technologyは、急激な成長を遂げている。2022年9月期の営業利益は前年度比約1.4倍の15億6500万円を達成。テレワーク普及の中で生まれた従業員同士や顧客とのコミュニケーションの円滑化を求める需要をつかみ、AI SaaSによって課題解決につなげている。上野山勝也代表取締役は、AIアルゴリズムを用いて人と対話しながら成長するソフトウェアは、新しいテクノロジーの象徴になってきていると力を込め、今後は販売パートナーの獲得などを進めて販路を拡大し、AIのさらなる社会実装を進めていく構えだ。
(取材・文/大畑直悠  写真/大星直輝)

AI SaaS事業が好調に推移

──22年9月期は大幅に業績を伸ばしました。その要因をどのように考えますか。

 M&Aによる上振れ要因もありましたが、もともと持っていたプロダクトの領域が成長をけん引した点が大きいです。特にチャットボットなどでコミュニケーションを円滑化するAI SaaSの領域が成長を引っ張っています。

──AI SaaS事業は、「従業員接点」と「顧客接点」の二つの領域で展開しています。どの点が評価を受けているのでしょうか。

 コロナによってテレワークが普及しましたが、それによって従業員同士の気軽なやり取りが難しくなりました。Web会議アプリによるコミュニケーションでは目すら合わせられず、組織の一体感をつくり出しにくい。それが原因で、社内のナレッジが属人化してしまう問題が起きています。例えば、職場に集まっていれば、分からないことをすぐ誰かに聞くことができましたが、テレワークでそれはできません。AIエージェントを用いると、分からないことがあればいったんAIに聞いてみて、AIだけでは解決できない問題であれば、解決策を持つ人につなげることができます。最初に聞く相手がAIならば心理的なハードルが下がり、テレワークでも気軽に聞ける環境をつくれます。また、AIは使うほど解決策が蓄積されていくので、ナレッジの属人化を避けることもできます。こうした離れたところで働く従業員を滑らかにつなぐソフトウェアは、大きな市場として存在していると考えています。

 つきつめれば、全ての社会活動はコミュニケーションです。これまでこの領域はデータになっていませんでしたが、リモートでのやりとりが浸透したことで、データ化できるようになりました。ここを科学することは大きなパラダイムシフトになるでしょう。

 顧客向けには、企業が顧客との対話を資産に変えていくソフトウェアを提供しています。現在、コンタクトセンターや店舗など、顧客接点が多様化し複雑になっています。そこを媒介するAIエージェントを提供し、企業が自社のファンを獲得できるよう支援しています。この領域のレガシーのソフトウェアをクラウド化し、AI化していくというのは、あらがえないトレンドだと思うので、今後も市場は拡大すると見ています。

──地方銀行間でFAQのフレームワークおよびデータを相互に共有する「地銀FAQプラットフォーム」など、業界内を横断したサービスの提供も活発化しています。どういった狙いがありますか。

 顧客満足度は当然重要ですが、顧客最適化だけではあまりインパクトが出せないので、業界自体をよりよい形に変えていく動きはできないかと考えています。AI技術は立ち位置的には業界全体に対して触媒的に関わることができます。地銀の場合は、全国どこでも、顧客が銀行に対して抱える悩みごとは同じようなものです。そうしたものに対するFAQの仕組みを共有財産としてSaaS化すると、社会的なインフラになります。AIは学習するソフトウェアなので、より多くのデータを学習させたほうがより良いサービスを提供できます。知識の共有空間としてAI SaaSを提供することで業界全体をよくできると考えています。
この記事の続き >>
  • パートナーとの連携強化で社会実装を促進
  • アジアでのポジション確立目指す

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外部リンク

PKSHA Technology=https://www.pkshatech.com/