KeyPerson
地域の多様性と効率性の両立を目指す
NTT東日本 代表取締役社長/社長執行役員
澁谷直樹
取材・文/安藤章司 撮影/大星直輝
2022/11/07 09:00
週刊BCN 2022年11月07日vol.1945掲載
(取材・文/安藤章司 写真/大星直輝)
“仕組みの変革”がビジネスの本分
――NTT東日本にとっての成長領域はどこにあり、どのような役割を担っていくべきだとお考えですか。当社では17都道県、29支店の地域密着のリソースをフルに生かした地域経済の活性化に力を入れています。19年からは従来の固定電話ビジネスとは毛色の違った事業子会社を立ち上げ、地域経済に焦点を当てたビジネスの拡大に臨んでいます。
最初に立ち上げた事業子会社は、ITを活用して次世代農業を支援するNTTアグリテクノロジーで、その後、eスポーツを通じた地域振興を主眼としたNTTe-Sports、家畜の糞尿処理、肥料生産、発電を手がける北海道帯広市のビオストックなど新領域だけで10社近くをつくりました。
――ITソリューションを軸とする一般的なSIerなどのITベンダーとは、ずいぶん違ったアプローチですね。
そうですね。当社はあくまでも地域の社会経済全体の活性化に主眼を置いているのが他社との大きな違いです。
とはいえ、地域経済の活性化と一言にいっても、実際には容易なことではありません。少子高齢化や東京一極集中が進むなか、持続可能な社会経済を実現するために、例えば東名阪への集中を推し進めて効率化する考えもあると思います。あるいは徹底的に標準化して、地域性を排除するのも効率化につながるという見方もあります。
そうしたなかで、当社では地域の多様性や特色ある地場産業、文化伝統を大切にしながら持続的に発展できるよう支援することに、成長の可能性を見いだしています。
――具体的にはどのような取り組みになるのでしょうか。
どこの地域でも農業・漁業などの一次産業は必ず存在しますので、成長領域に向けた事業子会社はNTTアグリテクノロジーを真っ先に立ち上げました。IoTやAIを駆使して農作物の栽培に使うビニールハウス内の環境を制御したり、生育データを分析したりして収穫予測や人員配置の最適化を目指しています。
ただ、こうした“単発”の課題解決や支援だけで、地域経済全体を活性化するのは困難だとみています。農作物の生産から流通、販売に至るサプライチェーン全体のデジタル化や、陸上養殖など漁業との組み合わせによる産業の集積度を高めて雇用や収入を増やしていくといった地域の社会経済の“仕組みの変革”こそが、当社の成長領域ビジネスの本分だと捉えています。
- 通信ネットワークを成長ビジネスに転換
- 地場産業を担う人々が主役に
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