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サーバー市場にはさらに伸ばせる余地がある

日本AMD 代表取締役

関 路子

取材・文/日高彰 撮影/大星直輝

2022/10/10 09:00

関 路子

週刊BCN 2022年10月10日vol.1941掲載

 CPU市場においてAMDの存在感が年々高まっている。大量のコアをワンチップに搭載する「Zen」アーキテクチャーによって、高性能でコストパフォーマンスの高いPCを実現し、データセンターではより高密度なシステムの設計が可能になった。1CPUに96コアを搭載する最新製品の発売を前に、日本AMDの関路子代表取締役に同社の戦略を聞いた。
(取材・文/日高 彰  写真/大星直輝)

売り上げは前年比7割増

――4~5年前に比べると、CPU市場でAMDの名前を目にする機会がかなり増えたと思います。ビジネスの状況はいかがでしょうか。

 2017年に「Zen」アーキテクチャーをリリースして以降、「Zen 2」「Zen 3」とテクノロジーを進化させてきました。明らかに性能は良くなっていますし、電力効率やコストパフォーマンスも改善され、それに付随する形でビジネスも大きくなっています。米国の調査会社Mercury Researchが8月に発表したレポートによると、直近ではグローバルのCPU市場全体のうち、当社は31.4%のシェアを獲得することができました。カテゴリー別では、デスクトップ向け製品の市場シェアが20.5%、モバイル向けが24.8%、サーバー向けが13.9%でした。調査によって具体的な数字は変わると思いますが、四半期ごとに伸びているのは確かです。売り上げに関しても、21年12月期は前年から68%増となりましたし、今年第1四半期(1月~3月)は前年同期比70%増となりました。着実にビジネスは伸びています。

――好調な業績の要因は何でしょうか。

 コロナ禍でPCの需要が増えたという背景もありますし、それ以上にデータセンター向けの製品はグローバルで急速に販売を伸ばしています。もちろん、サーバー向けCPUに関しては数年前までシェアはほとんどゼロに近かったこともあり、今後さらに伸ばしていかなければいけないと考えています。そのほか、ゲーミング市場の盛り上がりで、より高性能な製品や、家庭用ゲーム機などに搭載されるセミカスタム製品の売り上げも好調です。

――最新製品の特徴を教えてください。

 製品的な面では、先日「Zen 4」アーキテクチャーを市場に投入しましたが、これによって従来よりさらに多くのラインアップをお届けできるようになりました。デスクトップ向けの最上位モデルである「Ryzen Threadripper」も予定通り発売しましたし、サーバー向けの「EPYC」でもZen 4を採用し、今年中に最大96コアを搭載する「Genoa(ジェノア)」と呼ぶ製品を発売する予定です。市場的には円安で厳しい面もありますが、お客様のニーズにこたえられる魅力的な製品群を続々とお届けすることで、当社としては今年後半のビジネスもさらに伸ばせる余地があると考えています。

 Zen 4によって性能や電力効率が大幅に向上しますし、PCI Express 5.0に対応することにより拡張性も高まります。また、新たな命令セットである「AVX-512」をサポートしますが、これによってAIの学習に関するワークロードのパフォーマンスがアップします。HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)の分野では、米エネルギー省などによる、EPYCを搭載したスーパーコンピューターの「Frontier」が世界一の性能を実現しましたし、HPCの電力効率ランキング「Green500」では1位から4位までがEPYCのシステムです。Zen 4の投入で、HPC分野での評価もさらに高まると考えています。
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外部リンク

日本AMD=https://www.amd.com/ja