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地域ITビジネスのプラットフォーム化を推進

NTT西日本 代表取締役社長/社長執行役員

森林正彰

取材・文/安藤章司 撮影/大星直輝

2022/09/19 09:00

森林正彰

週刊BCN 2022年09月19日vol.1939掲載

 NTT西日本は、地域ITビジネスの拡大に当たってプラットフォーム化を強力に推し進めている。農業や漁業、観光など、どこの地域にもある業種・業態に焦点を当てるとともに、健康・医療といった共通性の高い課題の解決に役立つITソリューションをプラットフォーム上に構築。NTT東日本とも連携をとりながら全国展開することで収益性を高める戦略だ。地域ITビジネスは案件規模が小さく、採算を確保するのが難しいとされているが、NTTグループが強みとするネットワーク技術を生かして規模のメリットを最大化する。通算19年にわたってNTTの海外ビジネスに携わってきた“国際派”の森林正彰社長に話を聞いた。
(取材・文/安藤章司  写真/大星直輝)

規模が違うだけで本質は同じ

――森林社長はNTTグループきっての“国際派”とうかがっています。NTT西日本という地域密着の会社とは距離がある印象です。

 NTTに入社して今年で38年になるのですが、うち半分の19年を海外で勤務しましていますので、国際情勢に明るいと見られがちですね。私は国際的なITビジネスも地域ITビジネスも本質的には同じだと感じています。

 先進的なITを駆使して業務を変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)の文脈になぞらえるならば、前職の英国に拠点を置いて主にネットワーク構築やデータセンター事業を手がけていたNTTリミテッドと、今のNTT西日本のビジネス形態には、実のところ大きな違いはありません。ただ、ターゲットとしている顧客規模が違うだけです。

 NTTリミテッドは、同じく欧州でSIビジネスを展開するNTTデータと似て比較的大きな案件を主要ターゲットとしていましたが、NTT西日本は地場の中堅・中小規模の企業や農業、漁業、観光といった業種・業態が顧客ターゲットとなります。顧客の規模こそ違えども、先進的なデジタル技術で業務を変革したり、新しいビジネスや産業を起こしたりという点では共通しています。

――さすがに規模が違いすぎませんか。英国のNTTリミテッドは、この10月にNTTデータ傘下に入り、NTTデータグループの海外事業の一翼を担う存在です。

 おっしゃる通り、大口顧客であれば、それこそ一品ものの独自システムを構築しても十分に採算が合うのですが、地域の市町村規模のITビジネスではそうはいきません。顧客や地域をまたいで、横断的にサービスを提供できるプラットフォームをいかに構築していくかが勝負になります。個別の顧客向けに特化したサービスではなく、同じような課題を抱える顧客向けに共通的なサービスに仕上げることで規模のメリットを生かす方式です。

 例えば、信金中央金庫と業務提携して、全国254の信用金庫の顧客に向けたITポータルサービス「ケイエール」を10月から順次始める予定です。資金繰りの把握や電子請求書への対応、電子ファイルの共有など、信用金庫とその顧客である中小企業に役立つ機能を盛り込んだサービスです。全国規模の横展開を目指しているサービスですので、今回の信金中央金庫との業務提携には、NTT東日本も参加しています。
この記事の続き >>
  • 農業や観光など主要10項目に焦点 重点的にビジネス創出を進める
  • 成長領域の売上比率5割を目指す

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外部リンク

NTT西日本=https://www.ntt-west.co.jp/