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ソフトやデータを起点にハードビジネスを再定義する

豆蔵デジタルホールディングス 代表取締役社長

中原 徹也

取材・文/安藤章司 撮影/松嶋優子

2021/04/30 09:00

中原 徹也

週刊BCN 2021年04月26日vol.1872掲載

 豆蔵デジタルホールディングスは、豆蔵グループ中核事業会社の豆蔵とハードウェア設計を強みとするコーワメックス、ERP導入のエヌティ・ソリューションズの三つの事業会社を束ねる中間持ち株会社として4月1日付で事業をスタート。ハードとソフトの両方に強みを持ち、ハードと密接にかかわる自動車や産業用ロボットなどの分野を重点的に開拓していく。持ち前のプロセス変革に重点を置くコンサルティング能力によって、ユーザー企業のビジネス変革の支援にも力を入れる。ソフトやデータを起点としたハードウェア製品の価値向上、よりよい顧客体験の実現に注力することで、競争力を高める方針だ。

自動車やロボットで強みを生かす

――中間持ち株会社の豆蔵デジタルホールディングスを軸とするグループ再編の狙いはなんですか。

 豆蔵グループの主要事業会社は10社あり、うち技術的に親和性の高い事業会社を中間持ち株会社の下にまとめました。私はグループ中核事業会社の豆蔵と、機械設計などを手がけるコーワメックス、SAPやDynamics 365といったERP導入を展開するエヌティ・ソリューションズの3社を束ねる豆蔵デジタルホールディングスの社長という立場です。

 豆蔵デジタルHDグループの特色は、まずもってハードウェアの設計ができるコーワメックスを傘下に持っていることです。名古屋に本社を置き、輸送機械をはじめとする製造業の集積度が高い愛知県刈谷市、静岡県浜松市に事業所を展開しています。コーワメックスの従業員数は約520人と大所帯で、従業員数約180人の豆蔵、約100人のエヌティ・ソリューションズよりも規模が大きい。従って、このグループの特色の一つに、ハードウェアと密接にかかわる分野に強いことが挙げられます。

――ハード設計や組み込みソフト開発の分野に強いSIerという方向付けでしょうか。

 昔ながらの組み込みソフト分野のみならず、産業用ロボットや自動車の分野でしっかりとした提案ができる企業集団であることを志していきます。古いタイプの組み込みソフト開発は、ハードメーカーが設計をして、仕様が固まったのちにソフト開発の部分だけを請け負うことが多かった。この方式ですとIT業界特有の多重下請け構造や、付加価値の伸びしろが限られている労働集約型のビジネスモデルから脱却しにくい側面がありました。当社は自ら製品やサービスを設計し、顧客企業とともに新しい価値を創り出す知識集約型のビジネスモデルを目指します。

――どのようにして価値創造をするお考えですか。

 例えば、産業用ロボットからデータを取得して分析にかけ、どうすれば生産効率がより高まるのかの答えを導き出したり、自動運転やADAS(先進運転支援システム)では自動車から得たデータを起点に分析することで、より精度が高く、安全なクルマの開発につなげられます。

 これを実現するには機械、電気電子、ソフトウェア、AIの少なくとも四つの技術分野に精通している必要があり、前者の二つはコーワメックス、後者の二つは豆蔵が強い。両社が豆蔵デジタルHDの傘下で密接に連携しやすくなれば、従来の組み込みソフト開発では実現できなかった新しい価値創造が可能になります。

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外部リンク

豆蔵デジタルホールディングス=https://www.mamezo-dhd.com/