向こう3年で、倍の成長へ
──今後の成長に向けて、まずやっていくことは何でしょうか。
今年の6月1日から新会社になり、デルに買収される前の状態に戻ったかたちになります。デル傘下になったことで疎遠になってしまったパートナーもいらっしゃるので、そうしたパートナーとのビジネスリレーションシップを再構築していくことが一つ。
また、コンピュータメーカーではなくなりましたので、いろいろなかたちのアライアンスを組むことができます。デルも含め、日本でビジネスをされているコンピュータメーカーの販売網は、全国すべてをカバーしていますから、日本のメーカーと積極的なビジネスコラボレーションを進めていくことが二つめです。
三つめは、新規の代理店にわれわれの新たなパートナープログラムに加入していただいて、より販売網を拡充していくこと。これらが大きな柱になります。
──こういうところと協業したいという、求めるパートナー像はありますか。
いろいろな可能性があるかとは思いますが、そのうちの一つはIoTです。ここ2年ほどでIoTがホットになっていますが、従来のようにPCだけでなく、今では家電やコピー機などもネットワークにつながるようになりました。例えば、われわれのセキュリティ技術と、さまざまなメーカーのもつネットワークにつながる機器との共同技術みたいなものを発表して、セキュリティを幅広く確保できるようなビジネス展開をしていけたらと思います。
──目指すビジネスの目標は何でしょうか。
今年は、前年比30%増の成長を狙います。私がソニックウォールに来てからの4年ほどで、ビジネスは2倍になっているんです。出荷台数ベースでは、およそ3倍になっています。ここから先、向こう3年で現状のビジネスをさらに倍にしていくことが十分可能だと思います。そのためにも、パートナープログラムをご理解いただき、一緒にセキュリティの啓発活動も含めてやっていただけるパートナーの数をより多く増やしていきます。
今までわれわれの製品を売ったことのない代理店を
新規のパートナーとして積極的に増やしていきたい
<“KEY PERSON”の愛用品>PCを使わないときのメモ用に
米国のブランド「hartmann(ハートマン)」のレザーノートパッド。20年くらい愛用していて、現在のものが四代目。「これは買って半年だが、色合いが変わってきて、皮が手に馴じむ。やわらかくて持ちやすい」と絶賛する。


眼光紙背 ~取材を終えて~
藤岡社長がソニックウォールのビジネスに携わるきっかけとなったのは、デルがソニックウォールを買収し、ファイアウォールのビジネスを立ち上げるという話が舞い込んだことにある。「CA時代を含め、パートナービジネスは長年やってきているので、自身のキャリアを生かし、ビジネスを大きくできるのでは」と思ったという。以来、国内におけるビジネス拡大を導いてきた。
ソニックウォールのAPJエリアのなかで、日本は5割ほどのシェアをもつが、グローバルでみると、それは1割程度にとどまる。しかし日本は重要市場とみられており、「3年で現状の倍」というのは本社からの期待だ。達成できるか否か、カギを握るのはパートナービジネス。“セキュリティ専業ベンダー”となったソニックウォールで、藤岡社長がその腕を振るう。(宙)
プロフィール
藤岡 健
(ふじおか つよし)
日本IBM、旧日本モトローラを経て、日本ネクサウェブで代表取締役社長、日本CAで執行役員副社長、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズで代表取締役社長を歴任。2012年にデルがソニックウォールを買収した後に、デルのソフトウェア事業本部セキュリティソフトウェア本部本部長などを経験。16年のソニックウォール売却後、クエスト・ソフトウェア(旧デル・ソフトウェア)ソニックウォール事業本部本部長を経て、17年6月、同社から独立したソニックウォール・ジャパンの代表取締役社長に就任。
会社紹介
1991年に設立した米ソニックウォールの日本法人。UTM(統合脅威管理)、SSL-VPN、Emailセキュリティ製品などを手がけている。2012年にデルが同社を買収。16年のデルによるEMC買収に伴って、ソニックウォール事業を含むデル・ソフトウェアを売却。17年6月に、クエスト・ソフトウェアから独立した。日本法人は2000年に設立。SMB向けのUTM製品に強みがある。