宅急便でおなじみのヤマトグループに属するSIerのヤマトシステム開発は、物流とシステム開発を組み合わせた多様な事業を展開している。2014年4月に社長に就任した星野芳彦氏は、常に顧客を見据えながら新事業に注力し、今後はIoTやAIといった新技術を用いて、新たなビジネスを創り出そうとしている。
独立心が旺盛な会社
――まず、星野社長からみたヤマトグループ内における立ち位置を教えていただけますか。
ヤマトグループで情報システムを担当する当社は、他のグループ会社と比べて少し違った文化をもっていると思います。もともとはヤマト運輸のコンピュータ部門から独立してできた会社なのですが、「親に頼らないで、外できちんと儲けてこい」と言われて子会社化したという経緯があるんです。そのため、非常に独立心が旺盛ですね。要は親を頼らず、どれだけ自分たちで稼げるか。常に外販と内販を意識し、外販の売上比率7割を維持しようと。そういうかたちで独立した会社を目指そうとずっとやってきました。
――外販比率が高いのは、そのためなのですね。
今は外販と内販の比率は6対4です。宅急便システムの「次世代NEKOシステム」の開発があるため少し内販比率が高くなっていますが、外販に力を入れるという、そうした意識が社員一人ひとりにしっかりと浸透した会社だと思います。
――ヤマトシステム開発の強みはどこにあるのでしょうか。
やはり「ネコブランド」です。まずは、ヤマト運輸のネコブランドを背負っている信用。それから、ヤマト運輸の大規模なシステムの開発・運用を手がけているという安心感で、お客様から案件をいただいているというのはありますね。
加えて、システム開発と運用をセットでお客様に提案できることも強みです。宅急便は、平常月で一日200~300万個なのに対し、繁忙期には一日で1060万個になることがあります。平常月の倍以上です。こうした際にも、お客様が何の不満を抱くことなく対応することができる。このノウハウには目を見張るものがあります。ここを裏方で当社が支えているのです。
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