久々に大型ベンダーが上陸してきた。北米を中心に急成長を続けるクラウドERPベンダーのワークデイが、今年1月、日本で本格的に営業を開始したのだ。近年、コモディティ化したという指摘も聞かれるERP市場は、クラウドの波をかぶってイノベーションが進み、活気を取り戻しつつある。ワークデイは、そうした動きを先導する注目のベンダーだ。日本法人の金翰新・代表取締役社長ゼネラルマネージャに、日本市場攻略に向けたビジョンをうかがった。
既存ベンダーとは違う新しい価値
──まずは、日本での事業を本格的に開始するというアナウンスを経て、市場の反応はいかがでしょうか。 金 非常に反響は大きいです。待ってましたとか、やっと上陸してくれたかという声もありますし、ワークデイのことを初めて知ったけど、アプローチがおもしろいという声もありますね。引き合いを含めてかなりの問い合わせをいただいていて、ようやく堂々とマーケットに出て行けるということで、社員も生き生きしていますよ。
──1月の記者会見では、コンサルティングファームなどを中心とするグローバルの既存パートナーエコシステムに加え、日本独自のパートナー網も構築するというお話でしたが、どのような状況ですか? 金 フェーズでいうと、契約の詰め、最終段階です(取材日の2月5日現在)。近いうちに、日本ローカルのパートナーシップについて、具体的な発表ができるでしょう。
──日本のユーザーがワークデイに対して関心をもっているポイントは何だと思われますか。 金 キーワードは、「クラウドのグローバルな人事システム」ということだと思います。日本市場ではなかなか選択肢がありませんし、お問い合わせの内容から判断しても、グローバルの人事戦略をどう展開していくかというのは、多くの日本企業で大きな課題になっていることがわかります。国産のERPやタレントマネジメントシステムを使っておられる企業も多いですが、なかなかそうしたニーズに応え切れていないということではないでしょうか。
──日本では財務会計の提供時期は未定ですが、ERPという観点では、ワークデイは北米市場を中心にSAPやオラクルといった、既存ベンダーへのアンチテーゼとして伸びてきたという見方もあります。こうした見方についてはどう思われますか。 金 ワークデイは、従来のERPベンダーとは少し異質の、新しいポジションに立っています。テクノロジーそのものも、日本市場への進出の仕方もユニークですし、売り方、マーケティングのやり方を含めて、真っ向から競合するベンダーはないと私は思っています。ただ、実際のビジネスのフィールドでは、既存ベンダーのユーザーが営業対象だったりしますので、われわれの新しいバリューを感じ取ってもらうために、比較してご説明することはあります。
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