1999年に設立された日本中華總商会は、中国関連企業間の相互協力と、日本企業と中国企業の経済交流を促進するための事業を推進している。日本最大の中華経済団体でありながら、近年は日本企業の会員を積極的に増やして、日中間の経済関係を深めることに力を注いできた。日本中華總商会が設立15周年を迎える今年、日中間の政治・外交関係は戦後最悪といえるほどに冷え込んでいる。09年4月から代表理事・会長を務めている厳浩氏に、現在の日中関係や、今後の両国のあるべき姿についての認識をうかがった。
経済交流の窓口として
──厳さんは、2009年から日本中華總商会の代表理事・会長を務めておられます。まずは、日本中華總商会について教えてください。 厳 日本中華總商会は、1999年に設立しました。もともと日本に華僑はそれほど多くなかったのですが、1980年以降は中国の留学生が日本に来るようになって、80年代後半になると、その人数がかなり増えてきました。その結果、1980年から1999年の20年間で、日本の大学を卒業して、日本で創業する華僑が増えてきたのです。創業して10年がたつ企業も現れて、会社としての基礎ができてきたところも多かったので、もっと企業間で交流して横の連携を強めていこうという雰囲気になって、会の設立に至りました。
日本中華總商会には、「商」「中華」「日本」の三つのキーワードがあります。日本と中国の経済交流によって、最終的に会員のビジネスを伸ばすことを目的としています。ビジネスを促進すれば、日本と中国の国同士の関係も良好になると考えています。
──具体的にはどのような交流を推進しておられるのですか。 厳 セミナーや懇親会、異業種交流会を定期的に開催しています。こうした軽い交流を進めていくうちに、だんだん密度の濃い交流ができるようになると捉えています。軽い交流をきっかけとして知り合った後に、中国で一緒にビジネスを推進している企業がたくさんあります。中国の企業が日本に来たときには、日本中華總商会が窓口となって、会社を紹介したりもしています。
また、大がかりな交流も行っています。日本中華總商会として、毎年、中国や東南アジアに代表団を送り出しています。代表団を送ることは、われわれにとって欠くことができない経済ミッションです。中国政府や経済団体と交流することによって、日本中華總商会の知名度を高めるだけでなく、そうした動きが会員のネットワーク拡大に役立つと考えています。
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