ファイアウォール(FW)のメーカーとして、大企業向けに強いチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ。CATechnologies副社長を務めてきた藤岡健氏が4月10日付でチェック・ポイント日本法人の新社長に就任した。藤岡新社長のリードの下、新しいセキュリティアーキテクチャを展開し、販売体制を推進していく。
潜在能力をもつ会社
――前職はCATechnologiesの副社長を務めておられましたね。
藤岡 そうです。CAでは、営業を統括していました。CAの在籍期間は長く、トータルで約12年間いましたが、いずれは新たなチャレンジに取り組もうと心に決めていました。今回複数の会社からお話をいただいて、いろいろ考えてチェック・ポイントにしたというわけです。
――複数の会社からオファーがあったとのことですが、そのなかでチェック・ポイントの社長に就任された理由を教えてください。
藤岡 CAでは直販とパートナービジネスを束ねていて、チェック・ポイントの評判をパートナーから聞きました。チェック・ポイントは一般にゲートウェイで有名な会社ですが、実際はファイアウォール(FW)だけでなく、幅広いセキュリティソリューションをもっていて「トータルセキュリティベンダー」を目指しているのだと分かりました。顧客は大手企業が中心になりますが、長年日本市場でFWを提供してきたことから、名実ともにキャリアは十分で、ビジネスの土台はあります。ビジネスの規模を2倍、3倍に大きくしていくためのポテンシャルは十分にもっていると感じました。かつてCAで培ったノウハウを生かすことができる、ということも選択した理由です。
――FWの老舗でビジネス基盤もしっかりしているうえに、新しい成長軸もあると。セキュリティ製品を提供する会社のトップとして、ユーザー企業が抱える課題をどのように捉えておられますか。
藤岡 当社が非常に大きなシェアを持つ大企業を例にとりますが、このクラスの企業にはFWは導入されていて当たり前の世界です。ですが、それだけでは近年の脅威には対抗できません。いわゆるIPS(不正侵入防御システム)という領域であったり、社内におけるポリシーに基づいて、重要データ流出を防ぐDLP(情報漏えい対策)であったり、対策を別途打っていかなければなりません。セキュリティシステムの資産が増えていきますが、安定稼働させる意味ではあえて分けて設置する傾向があります。しかし、セキュリティの管理面からすると、複雑になります。脅威の進化は速いですから、どれだけスピーディにそれに対応していくかが企業セキュリティの大きな課題だと思います。
また、先般の震災時のように、自社のシステムに入れなくなって、業務をこなせないというリスクもあります。デバイスは多岐にわたり、ITを使う人にとって最適なセキュリティシステムを構築していくことが、一番重要です。
――ユーザー企業の課題に対して、チェック・ポイントはどのような解決策を提供しますか。
藤岡 企業を取り巻く環境は、「社内からのリスク」「ビジネス環境の拡張」「外部からの攻撃」という三つがあります。モバイルで会社の業務をこなす頻度が高まってビジネスの環境が広がっています。また、外部からの攻撃は大変問題になっています。私どもは「3Dセキュリティ」という設計思想で、問題を解決するツールを提供します。
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