日本ユニシスの子会社でシステム運用・保守サポートなどをビジネスとするユニアデックスが、新たな事業領域の開拓を急いでいる。2010年4月に就任した入部泰社長は「ユーザー企業がICT(情報通信技術)を『所有』から『利用』へ切り替える動きが活発になって、ハードウェアなどの保守需要が縮小している」と危機感を露わにする。その対策として、13年度(2014年3月期)までに既存事業以外の領域で200億円を稼ぐ計画を立てている。新しい市場環境に対応できるよう、同社の企業風土や製品展開の変革作業に取りかかっているところだ。
社員の行動力をアップさせる
──09年度(10年3月期)に、御社の営業利益が前年度の49億円から27億円へと大幅に減少しました。大変な時期に社長に就任されましたね。
入部 まさか社長になるとは、自分自身もまったく考えていませんでした。09年度に続いて、10年度も業績は非常に厳しい。当社のコアビジネスであるシステム運用・保守サービスは、これまで大きな変動がなく、右肩上がりの業績で推移してきました。しかし、リーマン・ショックを境にユーザー企業のIT投資に関する考え方が変わったことなどによって、2年前から営業利益が大きく落ちてきました。
10年度は、まだまだ厳しい状況が続いていますが、業務の内製化や生産性を向上させて、固定費の削減を図り、業績を何とか回復させたい。しかし、来年度以降の本格的な事業拡大に向けては、当社の従来型のビジネス展開だけでは、危険なレベルに来ていると実感しています。
──IT市場が大きく変化するなかで、社長に就任されてから約8か月間、具体的にどんなことに取り組んでこられましたか。
入部 まずは、業績回復を目指した「タスクフォース」を走らせるなど、緊急対策を講じました。今後の事業方針を集中的かつ早急に決めるため、メンバー10人ほどで、役員がリーダーを務める特別プロジェクトを立ち上げたのです。このプロジェクトでは、固定費の削減、販売力の向上、企業風土の変革の三つを目標に掲げて、戦略を練っているところです。なかでも、風土の変革が重要な課題だと感じています。
これまで当社は製品の品質を重視し、何か問題が起きたときにお客様のところへ駆けつけて問題を解決するという動き方をしてきました。だから、どちらかといえば営業のやり方は受動的でした。これを根本的に変えていきたい。
──具体的には、どのように変えていくのですか。
入部 そもそもシステム自体に問題が起きないように、お客様のシステムの稼働環境をプロアクティブ(事前予防型)にサポートするような営業スタイルを定着させることがカギだと考えています。つまり、お客様に呼ばれなくても、お客様が抱えているニーズや課題を考えて、自ら積極的に行動を起こすということです。行動力の向上は、当社の販売力の向上に直接的につながると考えています。
──社長就任から半期が過ぎましたが、これまでに何らかの成果は出ていますか。
入部 売り上げに直接反映するような成果は、いまのところ現れていません。しかし、社員の日々の行動を体系的に管理し、積極的にお客様のところへ行く習慣を身につけさせるという面では、効果がみえ始めているんです。いまは、次の新しい事業を立ち上げるにあたって、基盤を築いている段階です。
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