昨今、DX推進に伴い、一時的なファイル共有からファイルサーバーをクラウドへ移行することで、データ管理の負荷を削減しつつ、さらなるデータ利活用を推進する企業が増えている。しかし、法人向けクラウドストレージはデータが外部のサーバーに保存されるため、セキュリティーや使い勝手について懸念を持つ企業も多い。これを受けて、ダイレクトクラウドでは、企業利用に適したセキュリティーや利便性、コストパフォーマンスを備えた法人向けクラウドストレージサービス「DirectCloud」を提供している。ダイレクトクラウドの安貞善代表取締役CEOに、特徴や強み、今後の展望などを聞いた。

――ダイレクトクラウドの概要について教えてください。

安　ダイレクトクラウドは2004年に設立し、15年から法人向けクラウドストレージサービスのDirectCloudを提供しています。DirectCloudはセキュアなファイル共有のみならず、ファイルの鮮度や機密度といった属性に合わせてガバナンスを効かせたデータの一元管理が手軽に行えます。
 
　DirectCloudにファイルを預けておけば、機密情報はラベリングされて、セキュリティーポリシーに沿って管理でき、普段よく使うホットデータはオンラインですぐに表示・編集が可能です。一方、普段あまり使わないファイルは、安価なウォームストレージに自動で移動します。そして契約書や取引関連情報はコールドストレージにバックアップされるため、コストの最適化が可能です。つまり、文書のライフサイクル管理を統一されたセキュリティーポリシーに沿った管理を実現できます。また、DirectCloudをAIデータインフラとして使うことで社内文書のさらなる利活用も可能です。
 
――サービスの特徴や強みは何でしょうか。

安　DirectCloudは、AWSクラウドストレージをベースとして企業のデータインフラとして欠かせないガバナンスを効かせたデータ管理サービスです。独自の機能を実装しています。このソリューションの大きな特徴は、主に充実したガバナンスを効かせたデータ管理、ユーザビリティー、ストレージの階層化によるコスト最適化です。

　1点目は、DirectCloudではIT監査や情報漏えい対策、承認ワークフローなどの機能を使ってガバナンスを効かせて企業の情報資産を一元管理することが可能なことです。IT監査の場合、管理者を含む全従業員を対象とした検閲機能で、従業員または退職者のファイル操作状況を確認できます。それに加えて細かな操作ログも記録しているため、監査業務の速度や精度を高めることが可能です。セキュリティーに関しては、アクセス権をきめ細かく設定でき、二要素認証やIPアドレス制限、ランサムウェア対策を標準提供しています。
　2点目はユーザビリティーです。DirectCloudはエクスプローラーやFinderへマウントでき、ユーザーが慣れ親しんだ操作感でファイルを操作できます。またWindows版のドライブは、ドライブ文字や排他制御をサポートしてクラウド上のファイルを高速で表示できるので、誰でも直感的かつ快適に利用可能です。

　3点目は、DirectCloudではストレージの使用頻度に応じて階層化を行えることです。ホットストレージとウォームストレージ、さらに長期保存用やバックアップ用のコールドストレージ（25年7月リリース予定）があります。そのファイルを使用頻度に応じて階層化することで、データライフサイクル管理とストレージのコスト最適化が可能です。

――導入事例と今後の展望について教えてください。

安　まず事例ですが、介護や医療などの分野で情報サービスを提供されているエス・エム・エス様では、複数のクラウドストレージサービスを併用していたのをDirectCloudに統一し、管理工数を大幅削減しました。またアルプス物流様ではDirectCloudの災害対策・遠隔地バックアップ機能を利用することで、強固なBCP対策を実現しています。そして社会福祉法人の恩賜財団済生会様には、DirectCloudを組織全体のファイル共有基盤としてご採用いただきました。

　今後は、AI時代のデータインフラとしての機能を拡張し、お客様が高度なデータ活用を手軽に行うことで、データドリブン経営へより役立つサービスへと移行していく考えです。例えば、DirectCloud AIにOfficeファイルやEMLファイルをアップロードするだけでベクトル化され、議事録の要約や問い合わせ対応に必要なナレッジベースを簡単に行えるサービスを提供します。これによって問い合わせ業務の工数削減、コスト削減、顧客満足度向上、迅速な意思決定を実現することが可能です。

――最後に、BCN読者へメッセージをお願いします。

安　法人向けクラウドストレージサービスとして多くの方にご愛顧いただき感謝いたします。ガバナンスを効かせて社内文書の一元管理を行い、セキュアなファイル共有から効果的なデータ活用に至るまで、AI時代のデータインフラとしてご利用いただけるサービスを提供してまいります。