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週刊BCN 特別連載企画<第17回> DISのエキスパートに聞く 日本のIT利活用の実態は

2025/02/27 09:00

週刊BCN 2025年02月24日vol.2048掲載

 ダイワボウ情報システム(DIS)は、国内最大級のディストリビューターとして国内96カ所に拠点を置くことで地域に密着した支援体制を整え、約1万9000社の販売パートナーとともに全国のITビジネスを支えている。少子高齢化への対応などが国全体の課題となり、デジタル社会の実現が急務になる中、ITが果たす役割はこれまで以上に重要になっている。コロナ禍をきっかけにDXの機運が高まる中、各地域の企業などは、どのように動いているのだろうか。DISのエキスパートの声から、国内のIT利活用の実態を探る。

岐阜エリア
市街地で自動運転バスが運行 官民連携でDX推進を支援

拠点エリア 中部エリア
拠点データ 岐阜支店
住所:岐阜県岐阜市吉野町6-14(大樹生命岐阜駅前ビル7F)
電話番号:058-265-5418

 岐阜県は、全国7位の面積を誇り、県庁所在地の岐阜市がある岐阜地域、飛騨地域、東濃地域、中濃地域、西濃地域の五つの地域で構成されます。東濃地域の多治見市は全国でも有数の暑さで知られていますが、飛騨地域にある白川郷で有名な白川村は、冬になると大雪が降るなど、県内でも地域によって気候に大きく差があるのが特徴です。また、「岐阜」という名前は織田信長が命名したとされており、岐阜城を拠点に天下統一を目指したと言われています。
 
西日本営業本部 中部営業部
岐阜支店 田中 豊 支店長

 産業構造は、製造業が大きな割合を占めます。重工業や半導体工業、繊維、木材・家具、化学、食料品をはじめとして多岐に渡り、地場の経済を支えています。県内には白川郷のほかにも、飛騨高山、下呂温泉、関ヶ原、長良川の鵜飼いなどの観光名所が豊富なことから、サービス業も重要な柱になっています。

 ITの活用という面では、染色加工業の現場で、AIを活用して熟練者の技術伝承に取り組んでいる企業があります。また、2023年から岐阜市内の中心市街地で自動運転バス「GIFU HEART BUS」が運行。現在はオペレーターが乗車し、状況に応じて操作する「レベル2」で運行していますが、特定の条件下でシステムが全て操作する「レベル4」への移行を目指しています。

 岐阜県では、「岐阜県デジタル・トランスフォーメーション推進計画」に基づき、県内の行政や商工業、農林業、文化芸術、教育などさまざまな分野でデジタル化を進めています。その取り組みの一つとして「ぎふDX支援センター」を設置。同センターでは、IT企業などを「ぎふDXサポーター」に位置付け、官民が連携して、県民や地場の企業、市町村のDX推進に関わるさまざまな支援を展開しています。

 岐阜市など県南部は名古屋市に近く交通の便が良いのですが、その反面、働き手が名古屋へと流れてしまい、人手不足によりDXが遅れてしまっているのが課題です。IT活用の事例は出てきていますから、経営者層のDXに対する理解を深めてもらいつつ、県内の人材の地道な育成が重要となると思います。
 
合掌造りの集落が有名な白川郷は、1976年に重要伝統的建造物群保存地区に選定、
95年にはユネスコの世界遺産に登録された。
四季折々で見られる美しい景色などを目当てに、国内外から多くの観光客が訪れる。

岡山エリア
商店街にAIカメラを設置し人流を分析 行政は課題解決に向けITを積極活用

拠点エリア 中国エリア
拠点データ 岡山支店
住所:岡山県岡山市北区下石井2-2-5(ニッセイ岡山スクエア7F)
電話番号:086-235-1710

 岡山県は、中国・四国地方の交通の結節点です。JR岡山駅は山陰地方、四国地方に向かう特急の始発駅で、さまざまな路線が乗り入れており、山陽新幹線からの乗り換え客も多いです。香川県とは瀬戸大橋で結ばれていることもあり、経済的なつながりが強くなっています。
 
西日本営業本部 中四国営業部
岡山支店 今谷浩樹 支店長

 「晴れの国おかやま」というキャッチフレーズで地域をPRしていますが、降水量1mm未満の日が日本一多いことが由来です。とても暮らしやすい土地です。特産品として有名なのはフルーツ。白い果肉とみずみずしさが特徴の「清水白桃」やブドウの「マスカット・オブ・アレキサンドリア」はブランドを確立しています。海産物ではカキの養殖が盛んで、カキをたっぷり入れたお好み焼き「カキオコ」が名物です。

 産業構造は多様で、繊維産業、農業などが代表的です。繊維産業では、学生服とジーンズが有名で、学生服は出荷量が全国1位、ジーンズは国内外で品質が高く評価されています。

 IT活用は、自治体が先行して進めています。岡山市は、行政が抱える社会課題や行政課題の解決を目指して、最先端のテクノロジーや斬新なアイデアを持つスタートアップと協業する事業「GovTech Challenge OKAYAMA」を展開しています。その中で、中心部の商店街にAIカメラを設置し、観光施設のリニューアルやイベントによる人流の増減などの人流データを容易に分析できるようにしました。分析データは地域活性化に活用されています。また岡山県は、2023年5月に生成AIに関するワーキンググループを立ち上げ、8月に「生成AI利活用ガイドライン」「生成AI利活用事例集」を公開。生成AIの業務利用を推進しています。

 県全体の人口の約6割が岡山市と倉敷市に集中しており、県北部などは人口減が顕著です。遠隔医療など、IT活用を進められる余地は大きいと感じています。交通の要衝で位置的に中四国のハブにあることを生かし、ITの力で人やモノの動きを活発化させて、人口増につながるような動きが出てくることを期待します。
 
岡山県内で有数の観光地である倉敷市の美観地区。
白壁の蔵屋敷、なまこ壁、柳並木など、趣ある景観が楽しめる。
大原美術館やアイビースクエアなどの文化施設も多く集まっている。
風情を味わえる観光川舟が運航しており、人気を集めている。
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