Special Issue
New Relic SIerが実践したオブザーバビリティーの旅路 従来型インフラ監視からモダン監視へと移行
2025/02/27 09:00
週刊BCN 2025年02月24日vol.2048掲載
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マーケティング部 部長
木村剛氏
先に登壇したNew Relic マーケティング部長の木村剛氏は、「ユーザー視点でシステムの全容を把握し、関係者全員が『問題の把握』『原因の特定』『修正』ができる状態にすることが重要だ」と解説。オブザーバビリティーでは、インフラ、ログ、ネットワークを対象にする旧来のシステム監視と違って、より良い顧客体験(CX)や従業員体験(EX)の実現につなげることが可能だと述べた。また、「オブザーバビリティーの国内市場は年々拡大しており、2028年には24年の倍、200億円規模を突破する見通し。マネージドサービスの提供事業者には進化と深化が求められている」と強調した。
次いで登壇したアイレットMSPセクション セクションリーダーの蓮沼翔悟氏は、SIerでのオブザーバビリティープラットフォーム「New Relic」導入・活用事例を紹介した。保守運用サービス「cloudpack」を提供している同社は、約2500社・約1万台の仮想マシンに対して運用・保守サービスを提供中。蓮沼氏は「インフラ中心の旧来監視から脱却して、モダン監視によるプロアクティブな運用体制や運用プロセスに移行することが弊社の課題だった」と振り返る。
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インテグレーション事業部 MSPセクション
セクションリーダー
蓮沼翔悟氏
実際の移行には、3段階が必要だった。
第1の段階では、旧監視ツールをNew Relicのツールに置換。しかし、監視は引き続きインフラエンジニアが担当していたので、「開発エンジニアとの“共通言語”での会話やコラボレーションができなかった」(蓮沼氏)という。
第2段階では、インフラエンジニアの呼称をSRE(サイト信頼性エンジニアリング)に変更して、オブザーバビリティーを活用するための情報整備や勉強会を実施。だがそれでも、開発エンジニアとのコラボレーションは進まなかった。
そこで、第3段階では、SREと開発エンジニア間の共通指針を策定して、開発と構築の工程に適用。共通認識を可視化するためのダッシュボードを設けるとともに、試験の工程でもオブザーバビリティーを共通言語として双方向にフィードバックできるようにした。結果、SREと開発エンジニアの間で共通言語による会話とコラボレーションが成立。「単に新技術を導入するだけでなく、開発プロセスも変革することが成功のかぎ」と蓮沼氏は語った。
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