Special Issue

INDUSTRIAL-X DX/AI時代のベンダーに求められる心得とは 人材確保、提案力強化、コラボレーション力の必要性

2025/02/27 09:00

週刊BCN 2025年02月24日vol.2048掲載

 12月11日の基調講演「DX推進におけるベンダーの心得」では、INDUSTRIAL-X 代表取締役CEOの八子知礼氏が、DX/AI時代のITベンダーに求められる能力について論じた。

INDUSTRIAL-X
代表取締役CEO
八子知礼氏

 まず八子氏は、DXを「ビジネスやライフスタイルをまったく新しいモデルに変革すること」と説明。「そのDXにおいては、変革した後の姿を定義することがもっとも重要だ」と述べた。例えば、製造業DXでは現実をデジタル空間上でシミュレート(模擬)し、その分析結果を現実にフィードバックして最適化する「デジタルツイン」が行われるようになっているという。

 また、ESG経営(環境・社会・企業統治)の実現にはデータ化(見える化)をベースとするDXが不可欠。さらに、世界的にはSaaS(Software as a Service)からBPaaS(Business Process as a Service)へのシフトが始まっており、従来のBPO(事業プロセス・アウトソーシング)よりもスマートな業務委託が注目されているという。

 一方、システム開発の領域では「市民開発」が増えている。これは、業務部門の人がノーコード/ローコードのツールを使って自らアプリを開発する手法のこと。2年ほど前からは、業務を改善するために生成AIを取り入れる企業も増えている。

 このような時代背景のもと、ITベンダーには何が求められているのか――。

 喫緊の課題として八子氏が挙げるのは「DX推進人材の確保と養成」だ。今、生産年齢人口の減少などによって、製造業を始めとする多くの業種で人手不足が深刻な問題になっている。「その穴を埋めるには、テクノロジーや開発力を提供するだけでなく、包括的なサービスを顧客に提供できるITベンダーが必要だ」と八子氏。従来のITサービスに加えて、人材、BPOサービス、人材育成支援などを提供できるビジネスパートナーが求められていると指摘した。

 また、ソリューション提案力を強化する必要もある。デジタル商材やサービスを拡充すると、ラインアップが複雑化してしまうからだ。対象とする顧客セグメントも変わってくるので、サービスマトリクスとセグメントを見直して、営業シナリオと営業活動を顧客課題に合ったものに再編成することも重要である。

 このほか、DX時代のITベンダーにはコラボレーション力も必要だ。BPaaSを提供するには、これまで以上に広い領域での協業が求められるのである。具体的な領域として八子氏が挙げたのは、コンサルティング、システムインテグレーション、BPOサービス、ソフトウェアパッケージ、SaaS、セキュリティー、AI、IoT。八子氏は「総合商社のような総力戦の時代を迎えた今、自らの立ち位置、ビジネスモデル、協業相手を入念に考えることが大事だ」と強調した。
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外部リンク

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