Special Issue
週刊BCN 特別連載企画<第16回> DISのエキスパートに聞く 日本のIT利活用の実態は
2025/01/30 09:00
週刊BCN 2025年01月27日vol.2045掲載
帯広エリア
スマート農業の取り組み進む 帯広市中心に行政のデジタル化も推進
拠点エリア 北海道エリア拠点データ 帯広営業所
住所:北海道帯広市東一条南10-2-1(損保ジャパン帯広ビル4F)
電話番号:0155-25-8750
帯広市は北海道東部にある十勝地方の中心都市です。市の面積は東京23区とほぼ同じで、人口は約16万1000人(2024年11月末時点)と、十勝地方の中では最多です。世界で唯一とされる、そりを引く馬によるレース「ばんえい競馬」が有名で、北海道開拓時代に農耕馬で行われていた余興や催事が由来と聞きます。また、砂糖の原料の一つであるビートの生産が盛んな地域であることから、菓子も有名で、老舗菓子メーカーの本店があります。
経済面に関しては、畜産業や農業など、広大な土地を生かした産業が盛んで、日本全国で見ても十勝地方における農畜産物の生産量は多く、国内の食糧供給を支えています。特に、帯広市は食と農林漁業を柱とした地域産業政策の考え方を「フードバレーとかち」と総称し、十勝全域と協力して産業振興に取り組んでいます。
畜産業の中でも、特にメガファームと呼ばれるような大規模な牧場では、オートメーション化が進んでいます。例えば、メリーゴーラウンドのような機械の中に牛が入り、自動で搾乳ができる仕組みなど、できる限り人手を介さずに作業を効率化する取り組みが増えていると聞いています。また、スマート農業の取り組みも始まっています。JA帯広かわにしが中心となり、総務省の「令和6年度地域デジタル基盤活用推進事業」の実証事業を活用してドローンとAIを組み合わせた作物の管理や、複数の無人トラクターを同時制御する実証実験が行われました。
24年2月には、帯広市、音更町、芽室町、幕別町の帯広圏1市3町で地域のデジタル化を推進する「帯広圏デジタル化推進構想」が策定されました。住民向けサービスのデジタル化のほか、フードバレーとかちなどの取り組みを踏まえた産業分野でのデジタル活用などを目指しているそうです。
人口が減少する中、畜産や農業の担い手不足が課題となっています。例えば、米国や豪州などの広大な農耕地域を持つIT先進国からの情報収集など、今後は十勝地方が主体性を持って動いていくことが重要となると思います。
立川エリア
産官学連携でIT分野の発展目指す 地場企業はAI活用の検討も
拠点エリア 関東エリア拠点データ 立川支店
住所:東京都立川市曙町2-37-7(コアシティ立川6F)
電話番号:042-528-6811
多摩エリアは、東京都の面積の約2分の1を占めており、都心へのアクセスの良さや、立川市や八王子市に大型商業施設があるといった理由からベッドタウンとして人気で、400万人以上が居住しています。近年は、再開発が進んでおり、大型マンションの建設ラッシュが起きているなど、大きな変化を遂げている地域です。また、高尾山は、その登りやすさから、国内外から多くの人が訪れ登山を楽しんでいます。
産業面では、小売りや教育・学習支援、医療・福祉といった生活サービス業が約53%を占めています。製造業も重要な柱であり、一般機器、電子部品・デバイスなどが主な分野となります。大手製造業の工場も多く、DXの推進に向けた投資が積極的に行われています。
さまざまな業種の企業が存在するため、ITに関するニーズも多岐に渡りますが、最新のIT技術の活用という面では、多摩モノレールが挙げられます。AIを活用してリアルタイムで運行状況や車両の健康状態を監視したり、IoTセンサーにより、車両の故障やメンテナンスが必要な箇所を早期に検知したりすることで、乗客の快適性向上を実現しています。自社のビジネスの成長に向けて、AIをどのように業務に活用していくのかを検討する地場の企業も増えている印象を受けます。
多摩エリアは大学が多いのも特徴です。地域の大学が中心となり地域の発展、教育の改善・発展、社会貢献を行う機関「学術・文化・産業ネットワーク多摩」が設立されており、産官学連携によりIT分野の発展に向けた取り組みを進めています。学生が多いことに加えて、都心に比べて家賃が安いなどの理由から、多摩エリアで創業するスタートアップが増加傾向にあります。
全国共通の課題になりますが、多摩エリアも労働人口が減少している傾向が強くなっているため、企業のDXが進み、生産性向上や新たなビジネスを創出していくことが重要だと感じています。IT人材の確保においても、多くの大学に優秀な学生が多くいるので、定着化を図ることで地域の活性化につながると考えています。
滋賀エリア
琵琶湖の環境保全にビッグデータ利用 8市が共同運用するクラウドで効率化
拠点エリア 関西エリア拠点データ 滋賀支店
住所:滋賀県大津市中央3-1-8(大津第一生命ビルディング10F)
電話番号:077-510-1633
近畿地方の東部に位置する滋賀県には、美しい自然と豊かな史跡があります。交通の要所として栄え、織田信長や豊臣秀吉ら著名な戦国武将に関連する史跡が多く残っています。日本最大の湖である琵琶湖では、湖畔でのウォータースポーツやクルーズが楽しめます。また、国宝の彦根城は江戸時代からの歴史を感じさせる名城です。近江八幡の情緒ある街並みや、タヌキの置物でおなじみの信楽焼も見逃せません。グルメでは、近江牛や伝統的な発酵食品の鮒寿司が有名です。
産業の中心は製造業です。自動車部品や電子機器、化学製品などの工場があります。大阪や京都へのアクセスが良いため、上場企業の工場も数多く県内に多く立地しています。また農業も盛んで、コメや野菜が多く生産されています。琵琶湖を中心とした観光業も経済に貢献しています。
ITの活用は多様な分野で進んでいます。琵琶湖の環境を守る取り組みでは、地元の大学やNPO法人などが中心となって取り組んでいる「びわ湖環境プロジェクト」があります。センサーやドローンの活用、ビッグデータの解析を通じて、環境保全活動につなげています。県立琵琶湖博物館ではAR技術を使った観光案内用のアプリケーションを開発し、観光客に新しい体験を提供しています。
自治体での事例としては、滋賀県内の八つの市が基幹システムを共同で調達・運用する「おうみ自治体クラウド」が特徴的です。各市の業務効率が向上し、コスト削減や作業時間の短縮が期待されています。
滋賀県は、大津市や草津市といった県南部に人口と企業が集中しています。県北部は交通の利便性が低い問題などがあり、人手不足が顕著で課題が大きいと感じます。一方で、ワーケーションを推進し、新しい産業や人を呼び込もうという動きも出ています。積極的にITインフラの整備を進めることで県全体の活性化を目指せると期待しています。
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