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ネットワールド IBM Day2024を開催 「AIと自動化」をテーマに製品戦略や自動化ソリューションを紹介

2024/12/26 09:00

週刊BCN 2024年12月23日vol.2042掲載

 ネットワールドは11月22日、東京都港区北青山のザ ストリングス表参道で「ネットワールド IBM Day 2024」を開催。今年は「AIと自動化」に焦点を当てて、日本IBMの注力分野となるオートメーション製品戦略など最新動向について説明したほか、ネットワールドからは米IBMが買収を発表している米HashiCorp(ハシコープ)の製品について、AI活用による自動化ソリューションなどデモを交えて解説。当日はパートナーとエンドユーザーの約70人が参加し、会場は賑わった。

IBM AIはオープン、柔軟性、信頼性 運用自動化に多額の投資

 最初に登壇した日本IBM 理事の高木泰成・テクノロジー事業本部エコシステム共創本部パートナー共創事業部長は、「IBMが目指すビジネスのためのAIと注力分野」と題して講演した。2023年に誕生したAIソリューション「watsonx」は、企業におけるAI活用の本番展開を加速する「オープン性」、複数のAIモデルを適材適所で使用できる「柔軟性」、企業のAIガバナンスをサポート「信頼性」を特徴とする。「オープンなAIを使うことで、自社データと運用ルールを組み込み、柔軟で安全なAIを作成できる。ほかとの互換性や拡張性のある自社AIとして、成長できる」と強調した。
 
日本IBM 理事
高木泰成
テクノロジー事業本部 エコシステム共創本部
パートナー共創事業部長

 続いて、日本IBM 理事の上野亜紀子・テクノロジー事業本部データ・AI・オートメーション事業部IBMオートメーション事業部長は、「IBM Automation 製品戦略と最新動向」をテーマに講演した。

 上野事業部長はオートメーション市場の動向に触れ、28年までに生成AIによって作成されるアプリケーションは1B(10億)と予測されていることを紹介。「人の手によるシステム運用は困難であり、AIを軸とした運用の自動化(AI Powered Automation)が不可欠になる」と語る。
 
日本IBM 理事
上野亜紀子
テクノロジー事業本部
データ・AI・オートメーション事業部IBMオートメーション事業部長

 このAutomation領域に対し、米IBMは2兆円を投資して企業買収を進めてきた。代表的な存在がマルチクラウド、ハイブリッドクラウド環境向け管理ツールを手掛けるハシコープである。この分野の製品戦略として、製品機能の高度化、製品価値の向上、E2Eの自動化の実現、Client 0の取り組みを進めていく。

 具体的には、製品へのAIの組み込みやAI適用を進めて製品機能を高度化し、ユーザーのIT運用業務を自動化、よりプロアクティブな運用を可能にしていく。製品価値の向上では、多様なツールとの連携によって運用高度化を実現する。E2Eの自動化の実現では、アプリやシステムがどのように稼働しているかを、的確に深く、包括的に理解できる基盤(IBM Concert)を提供。AIを活用した運用高度化のレベル向上を進める。Client 0の取り組みでは、IBM自身が社内実践から得た学びとユースケースをフィードバックし、IBM製品の進歩に貢献していく。

システム構築とセキュリティー管理の自動化を実現するハシコープ

 ネットワールドのパートでは、SI技術本部ソリューションアーキテクト課ソリューションアーキテクトの海野航氏が登壇、「HashiCorp TerraformとIBM watsonxで進化するインフラ自動化」と題して講演した。

 4月に米IBMが買収を発表したハシコープは、異なる環境間の差異を吸収し、ワークフローの一貫性を実現するツールを製品ポートフォリオとして提供する。ネットワールドは、同社の世界初のディストリビューターである。
 
ネットワールド
海野 航
SI技術本部 ソリューションアーキテクト課
ソリューションアーキテクト

 まず、海野氏が取り上げたのがインフラのプロビジョニングを安全かつ効率的に行うツール「Terraform」だ。特徴はインフラであるCPUやメモリー、ディスクといったリソース、あるいは仮想マシンやアプライアンスそのものをコードで表現する「Infrastructure as Code(IaC)」で、自動化のかぎとなる。

 インフラ構築とその運用をコードで記述することで、▽専用のUIを通さずにインフラの変更を自動化できる▽ソフト開発と同じ手法でバージョン管理ができる▽一度記述したコードの共有・再利用ができる▽コード化された手順を第三者が検証できる。そして、Terraform実行までのステップをデモで紹介した。

 IaCならばコードベースのため高い再現性があるほか、高度に自動化され、実行が簡単になる。

 ただし、IaCは知らないことができるようになる魔法のツールではない。そのIaCを「魔法のツールに近づけてくれるのがIBM watsonx。インフラをコードで表現するとインフラと生成AIとの相性が飛躍的に高まる。ほぼ知識ゼロからでも、パブリッククラウドにITインフラが構築できるようになる」とした。

 次いで取り上げたのが「Vault」だ。この製品はクラウドのアクセスキーとパスワード(IAM)、ユーザー名など、流出や紛失してはいけないシークレットの管理機能を提供する。現状、管理者が手作業で実施していたアクセスキーやパスワードの発行をはじめ、「Excel」などで管理している実態も多く見受けられる。そのような課題やリスクを解決するためにシークレット管理を自動化し、運用の自律化を実現する。「Terraformでプロビジョニング、Vaultでセキュリティーの自動化を実現できる」と語った。
 
ネットワールド
若松大介
マーケティング本部
ソリューションマーケティング部IBMビジネス課 係長

 続いて、ネットワールドのマーケティング本部ソリューションマーケティング部IBMビジネス課係長の若松大介氏が登壇。「IBM ビジネス取り組み状況」をテーマに講演した。ネットワールドは、パートナーが持つソリューション・サービスに、IBMテクノロジーを組み込んで販売する共創モデル「ESA」ビジネスを23年10月に開始した。近くパートナー向けにオンプレミスでデータ漏えいのリスクを低減できる生成AIの検証環境を提供する予定だ。

 最後に、発注金額上位のパートナーを広島で実施する「ネットワールド IBM研修ツアー」に招待するキャンペーン(セールスコンテスト)を紹介した。参加者からは「参考になった」「勉強になった」という反響があり、今後のビジネスのヒントをつかんでもらうことができた。

 
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