Special Issue
週刊BCN 特別連載企画<第15回> DISのエキスパートに聞く 日本のIT利活用の実態は
2024/12/26 09:00
週刊BCN 2024年12月23日vol.2042掲載
函館エリア
イノベーションの先進地として脚光 漁業を対象としたプロジェクトも進む
拠点エリア 北海道エリア拠点データ 函館営業所
住所:北海道函館市梁川町16-24(損保ジャパン函館ビル4F)
電話番号:0138-51-5769
北海道の南端部に位置する函館市は、古くから港町として発展してきました。外国の文化を取り入れた街並みに加え、五稜郭などの名所や、イカをはじめとした海産物などが大きな魅力になっています。2016年に北海道新幹線で本州と結ばれたこともあり、毎年、国内外から大勢の人が訪れる国際観光都市としてより注目されています。
函館市では、観光関連を中心とした第3次産業が盛んです。また、津軽海峡沖で捕れる海産物を生かした水産業も有名で、スルメイカに関しては国内有数の水揚げ量を誇ります。いち早く西洋文化に触れていたことから製菓業の歴史も長いため、最近は街を挙げて「函館スイーツ」の認知度向上に取り組んでいます。
IT活用に関しては、漁獲量の減少や従事者の不足が課題の漁業を対象に、データの収集や分析などを行うプロジェクトを地元の大学が進めています。また、大手企業が開発拠点を新設したり、IT企業が進出しており、イノベーションの先進地として脚光を浴びています。
地元の自治体もITに対しては積極的です。函館市は官民協働組織を設置し、防災DXや単身高齢者の見守りといった課題の解決を目指しています。函館市内の中小企業や小規模事業者が、ITやロボットなどの活用に充てられる補助金を用意するなど、支援も充実していると言えるでしょう。函館市内の一連の動きがいい方向に影響し、各企業の生産性向上や発展につながることを期待しています。
函館市の人口は、北海道内で3番目の多さとなっていますが、全国のほかの地域と同じように減少に頭を悩ませています。24年1月末時点の人口は、約50年ぶりに24万人を下回り、これからも減少傾向が続く可能性が指摘されています。既に自治体や企業は危機感を募らせており、対策を急ぐ必要があります。とはいえ、いきなり人を増やすことは現実的に難しいのが現実です。産学官が一体となって地域の魅力をしっかりと発信し、まずはたくさんの人を呼び込めるようにすることが大切だと考えています。
山口エリア
DX推進拠点を活用した動きが加速 子育て世代やインフラ整備を支援
拠点エリア 中国エリア拠点データ 山口支店
住所:山口県山口市小郡高砂町2-8(AZURE新山口3F)
電話番号:083-974-5060
山口県は瀬戸内海と日本海に面した本州の最西端に位置し、古くから交通の要衝として発展してきました。県内には美しい海岸線や山々、日本最大級の鍾乳洞である秋芳洞といった豊かな自然があります。日本の歴史と深く関わってきた県で、14世紀末頃には京都と大陸の要素を融合した大内文化が栄え、国内だけでなく、東アジア海域の国際秩序とも関係を構築しました。ほかにもフランシスコ・ザビエルを招きキリスト教の布教を許可したり、幕末期には明治維新の原動力となった志士を輩出したりしました。
県内の産業は、地域ごとに特色があります。第1次産業は日本海側で漁業が重要な産業となっており、瀬戸内海側では農業が中心です。第2次産業も盛んで、特に瀬戸内海沿岸地域で発展しています。自動車部品や船舶の製造のほか、医薬品製造施設も多く、全国でもトップクラスの生産高を誇ります。第3次産業については港湾や空港、高速道路網を活用した流通業などが行われています。
県内のIT活用に向けた取り組みとしては、官民で連携するコミュニティー「デジテック for YAMAGUCHI」において、DX推進拠点「Y-BASE」を活用した先端技術の紹介やDXコンサルティングなどを展開し、県全体のDXを推進する動きが生まれています。行政や農業といった領域ごとの取り組みも進展しており、子育て世代を支援するデジタルツールの活用や、インフラ整備をデジタル技術で支えるプロジェクトに加え、AIを活用した作物の生育予測や病害虫の検知システムを導入したデジタル農業も実施しています。
今後、さらにデジタル化を推進するためには、デジタル技術の恩恵を受けられない状況の解消が求められます。具体的には、ITリテラシーの格差是正やインターネット環境の整備が挙げられます。DX推進の音頭を取る人材の確保も重要になります。適切なセキュリティー対策をした上で、クラウド技術を積極的に活用した業務の変革が有効になるでしょう。
高知エリア
第1次産業の効率化に貢献 農業、漁業でデータ活用進む
拠点エリア 四国エリア拠点データ 高知支店
住所:高知県高知市本町2-2-29(畑山ビル6F)
電話番号:088-820-5510
高知県は四国南側の大部分を占める太平洋に面した地域です。北側の四国山地には標高1000メートル級の山々がそびえ、森林面積は約60万ヘクタールで全国1位。県内総面積のおよそ84%が森林ということになります。近年は日本人観光客が増加しているほか、外国クルーズ船の寄港地となっていることから、インバウンドの需要も高まっています。
産業面では、農林水産業が地域経済で重要な役割を果たしています。農業ではナスやショウガ、ユズ、林業ではヒノキの生産が全国トップクラスです。日本最後の清流と称される四万十川や、水質日本一を誇る仁淀川などの河川を有し、全国屈指の養殖ウナギの産地としても知られています。もちろんカツオの一本釣りをはじめとした漁業も盛んです。
IT活用についても、第1次産業で先進的な取り組みがあります。産学官が積極的に連携し、データ連携基盤「IoP(Internet of Plants)クラウド」の研究・開発・活用が進んでいます。この基盤には、作物の生育状態や施肥などの作業情報、天候、ハウス内の環境に関する情報、市況情報などが集約され、営農支援サービス「SAWACHI」(サワチ)を通じて、グラフや表などのわかりやすいかたちで、農家に提供されています。既に1420戸を超える農家がSAWACHIを活用し、効率化につなげています。
水産業でも高知県を中心に、海水温や赤潮発生情報などの情報、これまでの海洋データなどを集約・提供するシステムの開発、市場での自動計量システム導入など、生産から流通、販売に至るまで、幅広くデジタル化に取り組む「高知マリンイノベーション」の事業が展開されています。
高知も他地域と同様に少子高齢化が深刻化し、それに伴う「デジタルディバイド」も課題となっています。デジタル人材の育成に向け、私たちも果たせる役割はあると考えます。地域のパートナーと共にDXを推進し、地域発展の一助になれるよう務めたいです。
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