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「Magicians Meeting 2024」レポート―マジックソフトウェアMagic製品の未来と生成AI活用の可能性を探る

2024/12/20 09:00

 2024年11月20日、マジックソフトウェアの日本法人が毎年開催しているパートナー向けのイベント「Magicians Meeting 2024」が、東京・御茶ノ水ソラシティカンファレンスで開催された。イベントでは「ローコードツールと生成AI活用」「IT人材育成」「SaaS時代のデータ連携」など、最新の技術動向を取り上げた講演やパネルディスカッションが展開され、パートナー企業やユーザー企業から多くの参加者が集結。進化するマジックソフトウェア製品の将来像や業界トレンドとはどういったものか、イベントの模様をレポートする。

複雑なプロセスをシンプルに。マジックソフトウェアの“DNA”が提供する価値とは

 基調講演「変革の時代におけるMagicのロードマップ」に登壇したのは、イスラエル本社から来日したマジックソフトウェアのCTO、ユヴァル・ラヴィ氏。同氏は、マジックソフトウェアの次世代ロードマップを発表し、ローコード開発ツール「Magic xpa」とデータ連携ツール「Magic xpi」の進化を中心に、2025年から2026年にかけて同社が目指す未来像を披露した。

 クラウドの普及やAIなどの新技術の登場、新たな働き方の浸透など、今日のIT環境は急速に変化している。そうしたなか、ラヴィCTOはマジックソフトウェアの“DNA”を貫くことを強調した。

 「当社のDNAとは、複雑なITプロセスをシンプル化することだ。これまでもシンプル化に注力してきたが、現在のIT環境ではそのミッションはより重要性を増している」(ラヴィCTO)

 この「複雑なプロセスの簡素化」というミッションは、同社の技術革新の土台ともなっている。1995年以来、マジックソフトウェアでは”Write Business, not Code!”、つまり「コードではなく、ビジネスを書こう!」をスローガンに掲げてきた。この理念に基づき、同社は開発者が複雑なコーディング作業から解放され、ビジネス価値の創出に注力できる環境を提供している。

 同社のローコード開発ツール「Magic xpa」の最新版には、エンタープライズWebシステム開発に最適なノーコードのUIデザイン機能「SmartUX Studio」が搭載されており、直感的なUIを通じて柔軟なシステム開発が可能だ。

 「SmartUX Studioでは、ウィジェットを自由に作成し、プロパティを柔軟に変更できる。これにより、開発者の創造性を最大限に引き出すことが可能だ」(ラヴィCTO)
 
マジックソフトウェア
ユヴァル・ラヴィCTO

クラウドネイティブやWeb化、そしてAI統合でより開発を効率化

 講演で発表されたロードマップには、次世代技術への取り組みが明確に示されていた。主な進化のポイントは、「①クラウドネイティブ対応」「②開発ツール(Studio)のWebベース化」「③Copilotの統合」の3点だ。

 ①については「Magic xpi Cloud Native」が2025年1月に日本市場で提供開始予定であり、より柔軟でスケーラブルなデータ連携環境を実現する。②では、WebベースのMagic xpi Studioが2025年下半期にリリース予定の「Magic xpi 5.x」で提供される。③に関しても、「Magic xpi 5.x」の特徴的な機能である「Copilotによる生成AIを用いたプログラム作成」によって可能となる予定だ。「連携フローの仕様を文章で入力することで、OpenAPIを取り込んだトリガーやフローを自動作成できるようになる。これによって開発者は、より高度な業務に集中できるようになるだろう」(ラヴィCTO)

 マジックソフトウェアの取り組みは、ツールの進化だけにとどまらない。同社は、プラットフォームエンジニアリングからSaaSまでをカバーし、API連携、分析機能、AIや機械学習などを備えたクラウドプラットフォームの提供を計画している。

 「このプラットフォームは、開発者とビジネスユーザーの双方にメリットをもたらす。当社の目指す未来は、すべての作業をシンプルにし、より多くの可能性を実現することだ。クラウドプラットフォームはその核となる存在である」とラヴィCTOは力強く語り、自身の講演を締めくくった。
 

これからの「戦略的」Magic人材育成

 1つ目のパネルディスカッションでは、IT業界全体が直面する人材不足の課題を背景に、Magic技術者育成と採用の戦略についてパートナー3社による議論が展開された。

 経験者採用の難しさや若手の定着率向上に向けた取り組みが共有される一方、新卒者を対象としたOJTやビデオ教材活用など、育成プロセスの効率化を重視する意見が目立った。また、技術者認定試験や勉強会を通じたスキル管理が進められているが、さらなる教材やコミュニティの充実が必要である点でも共通認識が得られた。そして最後には、企業としての魅力発信や変化への対応力が今後の人材獲得における重要な課題として示された。
 

どう使う?生成AI業務活用の可能性を探る

 2つ目のパネルディスカッションでは、生成AI技術の業務活用に関する現状や課題、今後の展望について議論が交わされた。

 生成AIの具体的な活用事例として、会議議事録やメール返信内容の自動生成による作業の効率化が挙げられた。また、生成AIを活用することで個々の能力を強化し、業務の生産性向上への期待も示された。一方で、AIの活用能力の個人差やAIの回答精度、急速な技術変化への対応などが課題として指摘された。

 そして最後にマジックソフトウェア・ジャパンからは、マジックソフトウェア製品のヘルプデスクサービスを、データ連携ツールの「Magic xpi」とChatGPTを組み合わせて構築中であり、近い将来に提供開始することが発表された。
 
老舗ローコード開発ベンダーが語るクラウド時代に向けた挑戦に耳を傾ける参加者たち
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外部リンク

マジックソフトウェア・ジャパン=https://www.magicsoftware.com/ja/